確かに冬の月は空の高いところに見える気がしますね。
太陽が季節によって高度が変わることはよく知られています。夏の太陽は空高く上り、冬の太陽は低くなります。つまり月は太陽と逆ということになります。これはなぜでしょうか。

太陽の一年の動きを天球の上に描いてゆくと、天球を一周する一本の線になります。これを黄道と呼びます(「おうどう」、または「こうどう」と読みます)。実際には地球が太陽の周りを一年に一周しているのですが、地球から太陽の動きを見ていくとこのようになるのです。
さて、黄道をよく見てみると、天の赤道をまたいで北へ行ったり、南へ行ったりしています。これは地球の自転の軸が傾いているからです。黄道が赤道の北にあるとき、これは季節でいうと夏にあたります。この時太陽は空高く昇ります。一番北へ行くときが夏至(6月21日ごろ)です。一方、冬の時は黄道は天の南にあり、太陽の高度は低くなります。最も低くなるのは冬至(12月21日ごろ)です。

さて、話を月に戻しましょう。月にも太陽の黄道と同じように、天球上での動きを描くことができます。これを白道(「はくどう」と読みます)といい、黄道とだいたい同じところを通っています。
ところが月は約27日で白道を巡っていくため、太陽に比べてたいへん早く天球の中を南北に行ったり来たりします。
ここで満月が太陽に対してどこにあるかを考えてみましょう。満月は地球をはさんで太陽の反対側にあります。つまり、冬の頃の満月は夏の太陽とだいたい同じ場所にあることになり、夏の太陽と同じように空の高いところまで上ることになるのです。