クレーターの大きさは、どのような原因で決まっているのでしょうか?
例えば、あなたが砂場にいて、地面にボールをぶつけたとします。弱く投げてぶつけたときと、強く叩きつけるようにしてぶつけたら、当然強く投げた方が、大きな穴(クレーター)ができます。
また、同じ速度でぶつけても、ピンポン玉と鉄の玉ならば、これまた当然、鉄の玉の方がより大きな穴があきます。
結論からいうと、クレーターの大きさは、ぶつかるものの大きさと速度に大きく関係してきます。つまり、その物体が持つ「運動エネルギー」が大きいほど、大きなクレーターになるということになります。従って、大きさと速度、どちらかが決まらないと、ぶつかったものの大きさは推定しにくいということになります。
さて、ではクレーターにぶつかるものの大きさは、どのようにして決めているのでしょうか?
クレーターがどのようにしてできるか、という研究は、アメリカや日本でも盛んに行われています。実験室で、高速(秒速数キロメートル)の弾丸を標的(この場合、岩石やアルミ板などです)にぶつける実験も、日本やアメリカで精力的に行われています。アメリカでは、地上で行った核実験でできたクレーターを調べるようなことも行われているそうです。
このような様々な実験を通じて、クレーターを作ったエネルギーと、そのクレーター大きさには、かなりシンプルな関係があることがわかりました。式で書きますと、クレーターの半径をR、クレーターを作ったエネルギーをWとして、
10^9*R (キロメートル) = W [エルグ]
となります。
では、この式をもとにして、クレーターの大きさとそれを作った隕石、あるいは小惑星の半径を計算してみることにしましょう。まず、ぶつかるときの速度を決めなければなりませんが、仮にこれを秒速10キロメートルとします。また、ぶつかった物質の密度を1立方センチメートルあたり3グラムと考えます(普通の岩石の値が、大体そのくらいです)。
衝突した天体が球形であると仮定しますと、近似的には、クレーターの半径の約20分の1が、ぶつかった天体の半径と考えることができます。
あとはクレーターの半径がわかれば、上の式から計算することができます。例えば、コペルニクスは半径47キロメートルですから、衝突した天体の半径は約2.5キロメートルと推定できます。また、メシエAはさしわたし13×11キロメートルという比較的小さなクレーターです。半径を6キロメートルとしますと、半径約300メートル(小さめの小惑星くらいの大きさ)の天体が衝突してできたと推定できます。
■参考資料
- 水谷 仁著、クレーターの科学(東大出版会、1983)