クレータの数を数え上げると月のいろいろな性質がわかるといわれていますが、たとえば、クレータの数を数えあげ、その個数密度(一定の広さの地域にどれくらいの数のクレーターがあるか)を調べると、 そのクレータの存在する地域が形成された年代が推定できます。この手法を「クレーターカウンティング」といいます。
「カウンティング」とは英語で「数を数える」という意味で、その通り、ある地域のクレーターの数を数え、その地域にどれくらいクレーターが密集しているかを調べることになります。
クレータは過去の隕石の落下によってできました。これまでいろいろな人が、降ってきた隕石の数が時代とともに変化していると仮定して、クレーターの存在する個数密度を時間の関数としてモデル化しています。
一般的に、その土地が古くからできていて、それ以来何も変わっていないとすれば、できたクレーターは消えず、一方的に増えるだけですから、密度は高くなります。従ってクレーターの数を数え上げるとそのモデルから、そのクレーターの存在する地域が形成された年代が推定できるのです。
ただし、これらのモデルは、仮定が多く、また小さなクレーターについては適用できないと言われています。今後探査を通して、より詳細な年代とクレータ密度の関係 の調査が必要でしょう。
なお、詳細については、以下の本を参照されると良いでしょう。
Melosh, H.J., Impact Cratering, Oxford University Press, New York, 1989
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月探査衛星「かぐや」のデータを使い、クレーターを数えることによって、その土地の年代を明らかにした具体的な例です。