まず月経ですが、これは、女性の子宮内膜から、一定の周期(通常は約28日)で出血がみられる現象をいいます。
この28日という周期は、月の満ち欠けの周期(約29.5日)に極めて近いものです。そこで、古代から、この月経の周期は月に深く関係していると考えられてきました(「月」経という名前自体がそのことを物語っています)。

しかし、実際に29.5日で規則正しく月経周期を持つ人というのは少ないようです。日本の女性の場合、平均すると月経の周期は30.4日で、しかも多くの人の周期は25~36日となっています。
確かに、月の満ち欠けの周期に近いことは近いですが、月経の周期には個人差もありますので、月経周期が月によって支配されているとは言えません。
参考までに、人類に近い、霊長類の月経周期がどのようになっているか、表でみてみましょう(世界大百科事典(平凡社)より抜粋し引用)。

動物 月経周期(日)
リスザル 24~25
マーモセット 14~17
ニホンザル 27~28
カニクイザル 26~38
アカゲザル 28
ブタオザル 32
ボンネット 30
ヒヒ 32.3
テナガザル 29.8
オランウータン 29~32
チンパンジー 34~35
ゴリラ 30~39
ヒト 28

霊長類の月経周期が比較的似通っているという点は興味深いですね。
しかし、似通っているとはいっても、月の満ち欠けの周期と比べるとずれがあります。人間に遺伝学的にも近いとされているチンパンジーでも、月経周期は34〜35日と、人間とはかなり違っています。
なお、月経周期がなぜ、月の満ち欠けに近い周期になっているのか、その理由は分かっていません。


■参考資料

  • 世界大百科事典(平凡社)