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月に限らず、天体の地形に名前をつけているのは、国際天文学連合(IAU: International Astronomical Union)です。
ここには、下部組織として惑星システム命名ワーキンググループ(WGPSN: Working Group for Planetary System Nomenclature)という組織があります。このワーキンググループは、月や惑星の表面に新しい地形や特徴物が発見されれば、IAUに対し、適切な名前を提案する役割を持っています。
このWGPSNが提案した名前は、最終的にはIAUによって承認されなければいけません。

さて、こういった月や惑星についての命名方法は、慣例という形でまとめられています。その文書(下の関連ページ参照)を元にして、月の地名について考えてみましょう。

まず、新しい名前をつけるためには、月の表面に新しい地形や特徴物が発見される必要があります。
新しい地形が発見されますと、まずそれがどのような分類に属するか(例えば、クレーターなのか、山脈なのか、あるいは別のものなのか)、また特徴的な地形については、IAUのタスクグループにより命名されます。
その後、解像度が高い画像が送られてきたら、観測者や研究者、あるいは一般の人であっても、名前についてコメントをすることはできます。そのコメントは IAU内のタスクグループを通じてWGPSNへ送られ、議論が行われます。この段階でWGPSNで承認されれば、この名前が「仮の地名」として使われることになります。
そしてこの地名は、最終的にIAU総会により承認が得られれば、正式な地名となります。

では、地名として名前をつける場合には、どのような制限があるのでしょうか? 先ほどの命名についての文書から、いくつかの条件を抜き出してみましょう。

  • 政治的、宗教的、あるいは軍事的に意味をもつような名前を採用してはならない(但し、19世紀以前の有名な政治家を除く)。
  • 命名される人物は、国際的にも評価されている人物でなければならない。命名の対象者は、少なくとも亡くなってから3年は経過している必要がある。
  • 命名される地形は100メートル以上のものである必要がある(天体の大きさにもよりますが、月の場合にはまずこの規則は通用するでしょう)。

また、月にはいろいろな地形がありますが、それらの名前はどのような人々の名前をつけているのでしょうか? これにも規約があります。

クレーター
大きなクレーターは、既に亡くなっている科学者、学者、芸術家の名前から取られる。また、小さなクレーターは、一般的に使われる名前(ファーストネーム)が使われる。なお、谷や断裂は、近くにあるクレーターの名前をとる。

湖、海、沼、池(平原地形)
ラテン語の天気、あるいは抽象的なものをあらわした言葉からとる。

地球の山脈の名前、または近くにあるクレーターからとる。

近くにある山脈の名前からとる。

峡谷
近くにある地形につけられた名前からとる。

以上からおわかりかと思いますが、あなたが学者や芸術家で、月についての大きな貢献をしたら、あなたの名前が月のクレーターに残される可能性はあります。
但し、名前がつくのは没後ということになりますから、クレーターに名前がついているのをみて喜ぶ、ということはできないでしょう。


■関連ページ
※以下のページはすべて英語です。