クレメンタインは、アメリカ国防総省(DoD)、アメリカ航空宇宙局(NASA)、弾道研究所(BMDO)などが共同開発した、月探査機です。
クレメンタインは、1994年1月25日に、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から打ち上げられました。2月21日に月を回る軌道に入った後、約2ヶ月にわたって月の表面を詳しく調べました。

クレメンタインは、いろいろな点でこれまでの月探査機と大きく異なっています。
まず、NASAだけではなく、国防総省などがからんでいるのが大きな違いです。もともとのクレメンタイン探査機の目的は、SDI(戦略防衛構想)計画で培われた部品の小型化の技術がどこまで確かなのかを、月探査機という形で実証することにありました。

また、これまでの探査機に比べて、非常に小さい点も特筆すべきでしょう。
クレメンタインは、重さが227キログラムしかありません。アポロなどのように数十トンもある探査機は例外として、これまでの月・惑星探査機が1トン近くあるような大型のものばかりであったことを考えると、異例ともいえる大きさです。
これらは、SDIの技術によって小型化が進んだ機械を搭載することにより、達成されたものです。

クレメンタインには、可視光から赤外線までを撮影できるカメラと、レーザ光を発射して月の起伏を測定する装置(レーザ高度計)が搭載されました。また、軌道を測定して月の重力場を測る実験や、クレメンタインから発射した電波を地球で受信して、その周波数の振れ具合を調べて月の表面がどのようになっているかを調べる実験なども行われました。この電波の実験から、月の表面に氷があるらしいことがわかってきています。



クレメンタイン探査機 (イラスト: NASA)
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クレメンタイン探査機が撮影した、ガガーリン・クレーター付近の写真。
疑似的にカラー合成をしています。
(写真: NASA、米国地質調査所)


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