1960年代から1970年代はじめにかけて、アポロ計画によって宇宙飛行士が月に降り立ちました。彼らは月の石を集め、月の表面を科学的に探査しました。そして、月に関するたくさんの科学的な知識を、我々人類が手にすることになったのです。
回収された月の石の分析や、コンピュータ・シミュレーションなどによって、月がどのようにしてできてきたのか、また、月がどのような歴史をたどって今に至っているのかが、ある程度わかってきてはいます。そして、「巨大衝突説」と言われる説が、月の成因としてかなり有力であることが、わかってきました。
しかし、私たちが月について知っていることは、まだほんのわずかな点に過ぎません。たとえば、宇宙飛行士たちが回収した月の石にしても、表側の数ヶ所の地点からでしかありません。地球のように、高い山の上から砂漠まで調べられ尽くされているような環境とは大違いです。
月の歴史について有力とされている説についても、年代など細かい部分にはまだあいまいなところも多いですし、巨大衝突説をはじめとして、いま提唱されているさまざまな説にしても、仮説の段階を抜け出せていないのが現状です。
結局、限られたサンプルからの情報をもとに、それを月全体の情報と考えて、仮説を立てているのが現状です。
したがって、私たち人類は、月に関しては大まかなことがわかっては来ているものの、細かなことについてはまだ、ほとんど知らないというのが現状ではないでしょうか。今後の探査によって、さらに細かい部分がわかってくると、私たちの知らなかった月の姿や、月の歴史を明らかにすることができるはずです。
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