月は、いつも表側を地球に向けています。
これは、地球に対する公転周期と自転周期がほぼ等しいためですが、厳密に測ると、月の公転の速度は一様ではありません。これに対し、自転速度の方はかなり一定です。そのために、このずれによって6.29度の振幅で見かけ上東西に振れることになり、東西の縁の付近の見え方もそれだけ異なってきます。
また、月の赤道面と白道面(地球から見る月の公転軌道面)も黄道面(太陽に対する地球の公転軌道面)に対してそれぞれ傾いているので、月は南北方向にも6.68度の振幅で振れて見えます。
さらに、月は地球に近い天体なので、月を地平線上で見るときと、天頂付近で見るときとでは東西方向の見え方に特に違いがでます。

このような3つの理由で、月はいつも正しく同じ面を地球に向けているわけではなく、秤動(ひょうどう)しているといいます。これは見かけだけのもので光学的秤動と呼びます。月の全表面のうち、地球から見ることができるのは59パーセントで、残りは地球からは見えません。