月面を望遠鏡で眺めると、大小の小さな穴がたくさん開いているのがみえます。これを「クレーター」と呼びます。
クレーターは、昔からどのようにしてできるのか、議論の的になってきました。特に、隕石などがぶつかってできたという説と、火山の爆発でできたという説が、有力であるとされてきました。確かに、ものがぶつかればおわんのような穴ができますし、火山の火口も、月のクレーターにそっくりな形をしています。
しかし、アポロ計画で持ち帰られた月の石を詳しく調べたところ、顕微鏡でなければみえないような、非常に小さなクレーターが、月の石にたくさん残されていることがわかりました。これらが火山の爆発によりできることはあり得ません。
現在では、月にあるほとんどのクレーターは、隕石、あるいは小さな天体が、非常に速いスピード(秒速数~数十キロメートル)でぶつかってできたと考えられています。
このようなスピードでものがぶつかると、ぶつかった場所から「衝撃波」と呼ばれる波が発生します。この波は、ぶつかった場所を中心として四方八方に均等に広がっていきます。この衝撃波によって物質が吹き飛ばされ、あのクレーターの穴ができます。
飛び散った物質は周囲にばらまかれます。できてからまだそれほど時間が経っていないクレーターでは、クレーターの周りに飛び散った物質がみえるものもあります。
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