先日、日本の火星衛星探査機MMXの打ち上げが2026年になるという報道が出ていましたが、その続報とでもいうべきニュースです。
宇宙政策委員会にて、MMXの打ち上げ延期などを含めた新しい宇宙基本計画の工程表が了承されたとのことです。それによれば、MMXの打ち上げは(既報通り)2年遅れて2026年に、月探査機ルペックス(LUPEX)の打ち上げは1年遅れて2025年になるとのことです。いずれも、打ち上げに使用する予定であるH3ロケットの開発遅延が原因です。

MMXと火星

火星を背景にして飛行するMMX探査機の想像図 (© JAXA)

本件については多数の報道機関が言及していること、また宇宙政策委員会における決定事項との報道内容からも、ほぼ確実なものと思われます。
但し、これでもまだ、「オフィシャルに」延期が決定したわけではありません。最終的には、12月下旬に開かれるであろう、政府の宇宙戦略本部会議(岸田首相も出席する会議です)にて正式に承認されて、工程表が決定となります。
なお、MMXは火星衛星(フォボス)のサンプルを地球に持ち帰る計画ですが、地球帰還も2年遅れで、2031年となる予定です。

月・惑星探査機は、地上から打ち上げるロケットがあってはじめて宇宙へと飛び立てます。
前の記事でも書きましたが、ロケットを取り替えるというのは、考えることは簡単なのですが実行するとなるとそう簡単ではありません。
ロケットといってもそれぞれ能力が異なります。それに合わせたロケットの選択が必要ですし、衛星とロケットをつなぐための装置を含め、様々な装置の再設計、再開発など、膨大な作業が必要になります。そのための時間と労力と延期した場合とを総合的に判断すれば、今回の選択は妥当と考えられます。

もちろん、延期は残念なことではありますが、宇宙開発、そして月・惑星探査は「より確実に行うこと」が何よりも重要です。そのためにはロケットが打ち上げられるだけでなく、「確実に」打ち上げられるようになることを待つのが賢明といえるでしょう。
工程表が変更され、変更が公となった時点で、月探査情報ステーションの記述も更新してまいります。