惑星探査機ニューホライズンズのチームが、望遠鏡による目的地「ウルティマ・トゥーレ」の観測に成功しました。
ニューホライズンズは、2015年7月(今から3年前)に史上はじめて冥王星の探査に成功したあと、次の目的地として、カイパーベルト天体(海王星よりも遠いところにある大きな天体。エッジワース・カイパーベルト天体、あるいは太陽系外縁天体ともいわれる)「ウルティマ・トゥーレ」(Ultima Thule: 仮符号は2014 MU69)の観測に成功しました。
もちろん、カイパーベルト天体の探査も史上初となります。

ウルティマ・トゥーレ(2014 MU69)に最接近して観測を行うニューホライズンズの想像図

カイパーベルト天体「ウルティマ・トゥーレ(2014 MU69)」に最接近して観測を行うニューホライズンズの想像図。この想像図では、先の観測によって示された、この天体が2つからなる可能性を考慮し、2つの天体の脇を飛行する形でイラストが描かれている。(Image: NASA/JHUAPL/SwRI)

今回は「掩蔽」(えんぺい)と呼ばれる現象を観測しました。掩蔽とは、ある天体の前を目的の天体が通過する(目的の天体が別の天体により隠される)現象です。掩蔽を利用すると、その天体の隠され方を詳細に観測することによって、目的の天体の大きさや形を知ることができるため、非常に貴重な機会なのです。

今回ニューホライズンズのチームは、地上(地球)から望遠鏡を使って観測を行いました。チームは南アメリカのコロンビアとアフリカのセネガルで観測を行ったとのことです。
サウスウェスト研究所に所属するニューホライズンズの共同研究者(Co-Investigator)、マーク・ビュイエ氏は、観測データが大量に得られて「これからやることがたくさんある」とのことです。現地は天気が悪く苦労したようですが「何とかなった」とのことで、「多くの苦労をした観測チームの面々に感謝したい」と述べています。

今後観測データの解析が進めば、このウルティマ・トゥーレの大きさや表面の様子がわかると思います。さらにこの天体はどうやら2つに分かれているらしいということで、この点についてもわかるかも知れません。
ニューホライズンズのウルティマ・トゥーレへの最接近は、来年(2019年)の1月1日が予定されています。正月早々ではありますが、史上初のカイパーベルト天体の素性が明かされることに期待したいですね。