まだ接近まで2日半あるのですが、なぜ「最後の」写真かといいますと、ニューホライズンズ探査機は冥王星の上空を猛スピードで通り過ぎるため、全体がみえるのはそろそろ限界、ということなのです。
NASAは11日(アメリカ現地時間)、「最後の」冥王星全体の写真を公開しました。以前から謎とされている冥王星の黒い領域、とりわけ4つの黒い点のような領域がみえる写真は多分これが最後になるかも知れません。
なお、ニューホライズンズはこの時点で冥王星から約400万キロメートルのところを飛行しています。あと2日半経ちますと、冥王星上空1万3000キロのところを通り過ぎていきます。

7月11日に撮影された冥王星

7月11日に撮影された冥王星。下の方に4つの黒い点のような領域がみえる。((c) NASA/JHUAPL/SwRI)

すでに以前の記事でもお伝えしていますが、この黒い点は、赤道付近にほぼ等間隔に並んでいるということはわかっているものの、未だに正体は謎のままです(といっても、まだ最接近前ですから、これからじっくりと謎の解明が行われるとは思いますが)。
ニューホライズンズ計画の科学者であるカート・ニーバー氏によれば、その不思議な点は「ほぼ等間隔に並んでいることだ」ということです。また、NASAエイムズ研究センターのジェフ・ムーア氏は、「これら(の黒い領域)が高原なのか平原なのかもわからない。あるいは、平面に存在する明るさの違いが見えているだけなのかも知れない。」と述べています。

この黒い領域の大きさは直径ほぼ480キロ(300マイル)ほどということがわかってきました。近づいてきたということもありますが、最初の頃に比べると、この黒い領域の様子がよりくっきりとみえてくるようになりました。

もちろん、冥王星で興味深いのはこの黒い領域だけではありません。おそらく冥王星の表面には、クレーターなどのいろいろな地形があるはずです。今後、このような地形を地質学や地球物理学の視点で解析することによって、冥王星の成り立ちや進化などに迫れるのではないかと思います。ムーア氏は、「まだ地球に送信されていない、この領域(ニューホライズンズが接近する側の半球)のカラー写真が送られてくれば、さらに詳しい冥王星の表面の様子がわかるはずだ。」と述べています。
冥王星は遠いということもあり、通信回線も非常に細く、まだすべてのデータを下ろし切れていません。今後数ヶ月かけてデータは地球へと送られてきますので、最接近のときだけでなく、その後のニューホライズンズのデータにも注目です。

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