冥王星に向かって飛行を続けている探査機、ニューホライズンズですが、ついに天王星の軌道をも越えました。
天王星の軌道を越えたのは、アメリカ現地時間(東部時間)で3月18日の午後6時過ぎ(日本時間では19日の午前7時)です。この時点で、地球からの距離は約30億キロ近くに達しています。
ニューホライズンズの探査主任であるアラン・スターン氏は、この天王星軌道通過により、ニューホライズンズが、9年半にも及ぶ飛行の新たな一里塚を超えたと語っています。
ニューホライズンズが冥王星のそばを飛行する(フライバイする)のは2015年の7月と、まだ4年以上も先です。また、冥王星のフライバイのあとは、そのさらに遠くにあるカイパーベルト天体への飛行を予定しています。
ニューホライズンズは、これまで打ち上げられた探査機の中で最も速い探査機で、既に20天文単位(地球−太陽間の距離が1天文単位。つまり、地球−太陽間の距離の20倍)以上の距離を飛行しています。
この途中で、2007年には木星をスイングバイして加速しています。
プロジェクト責任者のグレン・ファウンテイン氏は、「この探査はマラソンのようなものだ。ニューホライズンズのチームは探査機が正しい道筋を飛行することに精力を傾けており、いまのところは問題ない。そして、これからもこの努力を続ける。」と語っています。
なお、実際には「天王星の軌道を越えた」わけであって、天王星のそばを通り過ぎたわけではありません。天王星自身は離れたところにいます。また、探査機自身は電力消費を最小限に抑える「冬眠状態」になっています。そのため、天王星の軌道を越えたからといって、天王星の写真を撮影したわけではありません。
それでも、地球にいるニューホライズンズのチームは、まだ4年先とはいえ、冥王星とのフライバイに向けた準備を忙しくこなしています。4年先の冥王星との会合軌道の策定や、フライバイできるカイパーベルト天体の選定など、やることはたくさんあります。
ニューホライズンズが、次にさらに外側の惑星…海王星の軌道を横切るのは、
2014年8月25日の予定です。実はこの日付、ボイジャー2号が海王星に接近した日から、ちょうど25年目にあたります。
・探査チームの記事 (英語)
  http://pluto.jhuapl.edu/news_center/news/20110318.php
・ニューホライズンズ (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/pex_world/NewHorizons/