2004年に打ち上げられ、これまで3回にわたって水星フライバイを成功させてきた探査機メッセンジャーが、最終目標である水星周回軌道への投入に成功しました。
水星周回軌道への投入は、アメリカ東部時間で17日午後9時過ぎ(日本時間では18日午前11時過ぎ)に行われ、無事成功しました。
水星を周回する探査機は、人類史上はじめてのものです。
メッセンジャーのエンジン逆噴射は午後8時45分(現地時間)から約15分間にわたって行われ、午後9時10分過ぎ(現地時間)、管制センターではメッセンジャーからの軌道投入成功の信号を受信しました。さらに、午後9時45分(現地時間。日本時間では18日11時45分)過ぎから地球へのデータ送信を開始しました。地球に送信されたデータをみる限りでは、メッセンジャーの軌道投入のための逆噴射は正常に行われ、また探査機の各サブシステムも順調の模様です。
この逆噴射によって、探査機の速度は秒速0.8キロメートル遅くなりました。また、この周回軌道投入の際の地球との距離は約1億53600万キロです。
NASAのチャールズ・ボールディン長官は、「この探査は、水星についての私たちの理解を、これから大きく換えていくだろう。NASAの科学は教科書を書き換えていく。メッセンジャーは、科学者が人類の知識をどこまで最先端へと連れて行くのか、そのよい例である。」と語り、この探査への期待の大きさを述べています。
また、プロジェクトマネージャーであるジョンズホプキンス大学応用物理研究所のピーター・ベディーニ氏は、「この周回軌道投入という成功は、軌道管制、誘導、そしてミッションオペレーションチームの数多くのがんばりによって成り立ったものであり、それによって78億きろもの旅が無事、終わりを迎えたのである。」と述べています。
このあと数週間にわたって、応用物理研究所の技術者によって、探査機が正常に水星の熱を防御できることをチェックします。3月23日からは、初期点検を行うために探査装置の電源が入れられ、4月4日から基本観測期間がスタートします。
探査の主任科学者であるカーネギー研究所のシーン・ソロモン教授は、「地球に似ているという点もあるにもかかわらず、水星はまだ調査が十分ではない天体だ。周回軌道からの観測が人類の歴史上はじめて行われることで、水星の誕生や進化の謎が解けるのではないだろうか。」と語っています。
・NASAのプレスリリース
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2011/mar/HQ_11-079_MESSENGER_Orbits.html
・メッセンジャー (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/pex_world/MESSENGER/