水星探査機メッセンジャーは、既に3度の水星フライバイを終了し、現在は太陽を回る軌道(要は普通の惑星と同じような軌道)を回っていますが、1年後、水星の周りを回る軌道に入ります。3月18日、その周回軌道投入まであとちょうど1年となりました。
メッセンジャーの探査主任であるシーン・ソロモン教授は、「いよいよメッセンジャーはいちばん厳しい段階を終わろうとしている。既に6年半にわたって飛行を続けており、それは水星周回への長い長いウォームアップだった。最後の1年はこのチームにとって忙しい年になると思う。周回プランなどを検討しなければならないからだ。」と述べて、意気込みを語っています。
水星の周回軌道に探査機を投入するためには、メッセンジャーは探査機の飛行史上最大の軌道変換を行う必要があります。水星周回軌道投入に際しては、探査機に搭載された大型スラスター(小型ロケット)を約14分間噴射し、さらに他の小型スラスターも噴射する必要があります。この際、探査機は秒速0.8キロメートルの減速が必要で、発射時に搭載していた燃料のうち、31パーセントをこのときに使ってしまいます。
こうして、周回軌道に入った時点では、打ち上げ時に搭載していた燃料のうちわずか9.5パーセントしか残らないということになります。ただそれでも、水星周回の際の軌道変更には十分なのだそうです。
メッセンジャーの軌道担当の技術者は、最近になって、水星周回軌道への投入方法を少し変更しました。軌道投入の際の噴射の回数を少し減らすことで、リスク回避を狙ったのです。
また、探査機の軌道傾斜角を80度から82.5度に変更しました。これによって、水星の表面全体にわたって科学データが取得できることが期待されます。
メッセンジャー探査機が水星周回軌道に投入されると、探査機は水星上空約200キロを飛行し、周期12時間で水星を一周します。周回軌道に投入されるときは、メッセンジャーは太陽から約4600万キロの位置にあり、地球からは1億5500万キロの位置にあります。
・メッセンジャーチームの記事 (英語)
  http://messenger.jhuapl.edu/news_room/details.php?id=144
・メッセンジャー (月探査情報ステーション)
  http://moon.jaxa.jp/ja/pex_world/MESSENGER/