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非常に複雑な地表の歴史が、この写真には刻まれています。この写真は水星撮像システム(MDIS)の狭角カメラで撮影されたものです。写真の左下半分くらいは、非常に古い大きなクレーターで占められています。このクレーターの底部を、「Y」の字型に山と崖が横断しています。右側に太陽があるため、山がクレーターにはっきりと影を落としています。このため、ちょうどクレーターの底の平原が階段状になっているのがわかります。
「Y」の字の、右側へ向かっている方は、クレーターの縁をそのまま横切り、写真の上の方へと走っていっています。この「突状断崖」(ロベート・スカープ: lobate scarp)はこれまで撮影されてきた水星の地表写真にはよくみられるものです。突状断崖は、水星が冷えて縮む際、地殻が収縮してできるものです。それに対して、Yの字の左側に向かっている方は、クレーターの縁でとどまっています。こちらのほうは、「リンクルリッジ」と呼ばれる、溶岩平原などによく見られる地形と考えられています。リンクルリッジは月の海などでもよくみられます。
右側にはクレーターの跡とみられる地形があります。おそらく、一度できたクレーターが溶岩などにより埋められたものではないかと考えられます。あるいは地殻活動によるものかも知れません。
この写真はフライバイ直前18分前に撮影され、メッセンジャーから地表までの距離は約5000キロメートル、400メートル程度の地形まで識別できます。
・写真のページ
http://messenger.jhuapl.edu/gallery/sciencePhotos/image.php?gallery_id=2&image_id=128