メッセンジャー探査計画の探査科学者である、ジョンズホプキンス大学応用物理学研究所の
スコット・マーチー氏が、NASAの特別功労賞を受賞することになりました。この賞は、NASA外で働く人に対してNASAが授与する最高位の賞です。この賞は、NASAが行うミッションに対して非常に高い貢献を行った人にのみ贈られます。
マーチー氏の業績は、マーズ・リコネサンス・オービター(MRO: 火星探査機)に搭載されている小型観測撮像スペクトロメーター(CRISM: Compact Reconnaissance Imaging Spectrometer for Mars)の開発に際し、優れたリーダーシップを発揮したことに対し贈られるものです。
また、マーチー氏に対しては、CRISM開発チームを代表して、NASAのグループ開発功労賞が2つ送られることになっています。このうち1つは、CRISMチームを代表してのもので、取得したデータを分析し、火星の表層、その組成、そして進化について多くの知見を得ることができた業績に対するものです。
さらに、メッセンジャー探査計画にも関わる探査科学者である、マサチューセッツ工科大学のマリア・ズーバー博士にも、グループ開発功労賞が贈られることになりました。ズーバー博士は天体の重力測定のエキスパートで、今回の受賞理由は、MROの重力科学チームを代表してのものです。MROによる重力測定で、火星の静的な、及び動的な(時間により変化する)重力場を計算し、内部構造、及び揮発性物質の移動に対して重要な制約条件を与えたことが受賞理由です。
マーチー氏は、特別功労賞を6月30日にNASA本部の授賞式で、またグループ開発功労賞を7月19日にジェット推進研究所(JPL)にて、それぞれ授与される予定です。
「私が受賞するなんて信じられないくらいほめられすぎだと思う。この賞は、CRISMチームとして一緒に働いてきたすばらしい人たちに対して贈られるものだ。そして、CRISMだけでなく、メッセンジャー、そして10年前はニアー・シューメーカー探査(小惑星探査)で、一緒に働いてきたすばらしい人たちにだ。そして、応用物理学研究所はチームワークという点ですばらしい精神を発揮しており、その一員であることは私にも誇りである。」
(マーチー氏)
マーチー氏の専門は、水星を含めた固体天体表層のスペクトル探査です。メッセンジャー計画では、水星撮像システム(MDIS)の開発に関わり、探査におけるデータ取得の方針について主導してきました。また、MDISや水星大気・表面組成スペクトロメーター(MASCS)のデータ解析についても関わっています。
メッセンジャー探査責任者のシーン・ソロモン教授は、「メッセンジャーチームは、スコット(・マーチー氏)、マリア(・ズーバー氏)のような人物がそのチームの一員であることが大変光栄である。彼らは、他の探査計画でも科学を主導してきていて、MROや他の探査における彼らの経験がメッセンジャー探査における科学成果を、単に水星だけでなく、他の内惑星全体の理解に広めることができることを確かなものにしている。」と、この2名の受賞の喜びを語っています。
・メッセンジャーチームの記事 (英語)
http://messenger.jhuapl.edu/news_room/details.php?id=175
・メッセンジャー (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/pex_world/MESSENGER/
・マーズ・リコネサンス・オービター (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/MRO/