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この写真は、再接近時の写真の中でも、探査チームを興奮させた1枚です。
この写真に写っている未知の領域についての研究が始められていますが、例えば、この地域のクレーターを同定したり、大きさを調べたりする作業なども行われています。ある地域にどれだけクレーターが存在するかという「クレーター密度」は、その地域がどれくらい古いかを大まかにではありますが示すものです。クレーターが多ければ多いほど、その地域は地質学的に古い場所ということになります。水星表面の異なる場所でのクレーター密度を数えることによって、水星の地史を比較しながら構築することができ、その地域がどのようにしてできたのか、そしてどのような過程を経てきたのかを知ることができます。
ただ、このクレーターを数えるという作業は大変に時間のかかるものです。上の写真の幅はおよそ276キロメートルあります。水星撮像システム(MDIS)の狭角カメラで捉えられた映像の一部なのですが、この部分だけでクレーターは763個同定されています(緑色で示されている場所)。また、丘も189カ所同定されています(黄色で示されている場所)。水星の表面の高解像度モザイク画像を撮影するのに、狭角カメラの画像491枚が使われています。
もちろん、ただクレーターを数えるだけではだめです。ちゃんと測定をした上で、クレーターの密度を算出しなければいけません。多くの小さなクレーターは「二次クレーター」と呼ばれ、大元のクレーターから放出された物質が近辺でさらに地面に衝突してできたものです。水星への小惑星や水星の衝突史をちゃんと知るためには、この大元のクレーターと二次クレーターを区別しなければいけません。さらに多くのクレーターが測定されれば、メッセンジャーに関わっている研究者は水星の地質に関して新しい知見を得ることができるでしょう。
・写真のページ
  http://messenger.jhuapl.edu/gallery/sciencePhotos/image.php?gallery_id=2&image_id=136