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この写真は、フライバイ時(約20分前)に撮影された写真をつなぎ合わせたものです。写真は水星撮像システム(MDIS)の狭角カメラで撮影されました。水星からの距離は約5000キロメートル、400メートル程度の特徴の地形も識別できます。
この写真には、水星の赤道付近にある大きくて比較的新しいクレーターが写っており、そのそばには、2次クレーター(クレーターができたあと、その破片が飛び散ってできるクレーター)がチェーン状にできているのが写っています。大規模で底が平らなクレーターは、クレーター壁が崩れることによってテラス状の縁ができます。大きなクレーターができたときに、何百という大きな破片が散らばって作ったのが、その大元になったクレーターの周囲に放射状に散らばっているチェーン状のクレーターです。
このようなチェーン状のクレーターが、主クレーターの周りに丘状の複雑な地形を形作っています。これらの2次クレーターの数を数えることによって、主クレーターの年代を推定することができます。この年代を使って、クレーターの底にある物質の年代を測ることができ、クレーターができてから、クレーターの底に物質がたまったかどうかを知ることができます。今回、2次クレーターの量が多くまた大きいことから、このような平底クレーターの研究に光が当たる一方で、より複雑な地誌が明らかになるといえるでしょう。
(注)地表におけるクレーターの密度によって、その地域の年代を決定する手法を「クレーター年代学」といいます。一般には、古い地域ほど多くのクレーターが存在し、新しい地域ほど少ない、という法則に基づき、年代がわかっている場所を標準として、推定されたクレーターの生成曲線からその場所ができた年代を特定します。この手法は月では様々な場所で使われています。
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http://messenger.jhuapl.edu/gallery/sciencePhotos/image.php?gallery_id=2&image_id=124