1月に、インドが金星探査と木星探査実施を考えているとブログ記事で紹介しましたが、その記事にもあるように、インドはまず金星に行く道を選んだようです。
インドの新聞「ザ・ヒンドゥー」は21日、インド宇宙研究機関(ISRO)が、近世探査計画を正式に承認したと発表しました。

同紙の記事によると、今回ISROは科学者を招き、金星探査ミッションについての基礎的な検討を開始したとのことです。
ISROの計画によると、探査機は最初に金星を回る非常に細長いだ円軌道に投入されるとのことです。sorae.jpの記事では、軌道は近金点(金星に最も近い点)が500キロ、遠金点(金星から最も遠い点)が6万キロとのことです。このような長だ円軌道は、金星周回衛星では一般的です。日本の金星探査機「あかつき」も、ヨーロッパの金星探査機「ビーナス・エクスプレス」も、このような長だ円軌道に投入されて、金星の観測を行っています。
探査機は175キログラムの科学機器を搭載し、総発電量は500ワットとのことです。かなり小さい探査機になりそうで、4〜5つ程度の科学機器が搭載されるものと考えられます。

現時点ではISROは検討を始めたばかりで、最終的にはISROの宇宙科学アドバイザリー委員会の承認を得たあと、政府の宇宙委員会の承認が必要で、これによってやっとミッションが正式にスタートできます。
ISROによれば、探査機についてより詳細な情報は来月(5月)19日までには提供されるとのことで、おそらくその時点で機器などについてより詳細な情報が出てくると思われます。
現在搭載機器については募集(AO: Annoucement of Opportunity)が出ており、選定の結果機器が決まることになります。

ザ・ヒンドゥー氏によれば、探査は2020年より前にはならないとのことで、2020年より後になると考えられます。これは妥当な判断でしょう。月や火星とは異なり、強い太陽光などが障害となる金星探査は難易度がぐんと上がります。ですので、いくら「安くて早い月・惑星探査」が得意なインドとはいっても、ここはじっくりと検討を続けるという判断を行ったのかと思われます。

もし実現すれば、インドは月、火星に続き、金星に向かうということになります。いってみれば、地球から近い探査目標を順々に攻略するという(地球に近づく小惑星は別として)、ある意味一貫した哲学のもとに探査を実施しているようにみえます。
いずれにせよ、来月の情報などを含め、今後の情報に期待しましょう。