カッシーニの最後に向けた探査機の主要イベントの時間(タイムライン)が、探査機の運用を行っているジェット推進研究所(JPL)から公開されています。

カッシーニの「グランドフィナーレ」における飛行の想像図

土星の北半球の上空を飛ぶ、最終ミッション「グランドフィナーレ」を実施中のカッシーニ探査機の想像図。これはグランドフィナーレにおける22回めの降下の際の状況。(Photo: NASA/JPL-Caltech)

現時点で、カッシーニが土星大気に突入し、燃え尽きて地球との通信が途絶したことが地球で確認できる時刻は、9月15日午前4時55分(アメリカ太平洋夏時間。日本時間では15日午後8時55分)となっています。
土星と地球とは約15億キロ離れているため、電波の速さをもってしても、土星で起きていることが地球でわかるためには83分の時間差があります。
また、上記の時間は完全確定ではありません。大気に探査機が突入したとしても、その大気の厚さ・濃さなどを含めた本当の状態はわかりませんので(最後にカッシーニが地球に送ってくるのは、まさにそういった情報になるでしょう)、数分か、あるいはそれ以上ずれることも考えられます。ご注意ください。

以下、カッシーニ探査機の最後の主要イベントについて、時系列で並べます。
時刻は土星上の時間で記されています。土星上の時間ではありますが、時刻表記はアメリカ太平洋夏時間です。年のため日本時間に変換した時刻も記してあります。
また、信号の送信などの場合、それが地球に届く時間も記してあります。

土星における時間
(アメリカ東部夏時間)
土星における時間
(日本時間)
地球への到着(日本時間) イベント内容
9月8日
午後8時9分
9月9日
午前9時9分
「グランド・フィナーレ」ミッション最後となる、22回めの本体と輪の間の空間の通過。土星表面(雲の頂上)から探査機までの距離は約1680キロメートル
9月9日
午前9時7分
9月9日
午後10時7分
9月9日
午後11時29分
上記、最後の通過の際に取得したデータの送信開始
9月11日
午後3時4分
9月12日
午前4時4分
軌道変更のための衛星タイタンへの最接近(フライバイ)。タイタンからの距離は11万9049キロメートル。
9月12日
午前1時27分
9月12日
午後2時27分
遠土点(土星からもっとも遠い点)に到着。距離は約130万キロ。
9月12日
午後7時56分
9月13日
午前8時56分
9月13日
午前10時19分
タイタン最接近のデータの送信開始
9月14日
午後3時58分
9月15日
午前4時58分
カッシーニ搭載のカメラによる最後の画像取得
9月14日
午後4時22分
9月15日
午前5時22分
9月15日
午前6時45分
探査機がアンテナを地球に向け、カッシーニ内のデータ記録装置の全データの送信開始。最後に取得した画像なども地球へ送信される。このあと、探査終了まで通信を続ける。
9月15日
午前11時15分
NASAの深宇宙通信網(DSN)のアンテナのうち、オーストラリア・キャンベラ局のアンテナが通信を引き継ぐ。
9月15日
午前1時8分
9月15日
午後2時8分
カッシーニがエンケラドゥスの軌道の距離まで土星に近づく
9月15日
午前3時14分
9月15日
午後4時14分
9月15日
午後5時37分
測定装置が土星大気成分の観測をできるように探査機の向きを5分かけて変更。探査機がシステム変更を行い、毎秒27キロビットでの地球との通信を確立。最後の瞬間までこの速度でリアルタイム通信を実施する(当然のことながらリアルタイムとはいっても電波が到着するまでには時間差がある)。
9月15日
午前3時22分
9月15日
午後4時22分
カッシーニがもっとも外側にある輪、Fリングの位置を通過。
9月15日
午前6時31分
9月15日
午後7時31分
9月15日
午後8時54分
カッシーニが土星大気に突入。逆噴射は10パーセントの推力で作動。
9月15日
午前6時32分
9月15日
午後7時32分
9月15日
午後8時55分
逆噴射は100パーセントの推力で作動。高利得アンテナ(ハイゲインアンテナ)の地球指向が外れる。通信途絶。

以上が、現在予想されているカッシーニの最後の瞬間です。
最終的には、土星大気の圧力によって探査機の向きが変わり、アンテナが地球の方向を向き続けられなくなります。その時点で通信が途絶し、ミッションは終了となります。

通信途絶の時間は、最後の5回の「ダイブ」、すなわち土星の本体と輪の間の通過によって若干変化しています。この5回の通過では実はカッシーニは土星大気の上部を通過していて、大気との摩擦によって探査機自身の速度が低下しています。その影響があって、カッシーニの最後の時間についても変化することになります。
もし大気の影響が予想以上であれば、すなわち大気によってより強く減速されているようであれば、ミッション終了の時刻は若干(数秒、最大数分程度)早まることになります。逆に大気が薄ければ、もう少し終了時刻が遅くなることになります。

カッシーニのチームは、探査機の土星の輪と本体の通過のたびに大気によって探査機の軌道がどう変化するかを観察しています。このデータによる計算で、最終的に時間の変更が起こりうるかもしれません。

【訂正】本文内で、土星と地球との距離を「2億5000万キロ」と表記しておりましたが、こちらは計算ミスで、正確には15億キロとなります。大変失礼いたしました。修正を完了しています。