いよいよ、土星探査機カッシーニの最後が近づいてきました。
カッシーニは、15日夜(日本時間)に土星大気に突入、探査を終了することになっています。その点について、カッシーニ探査機を共同で作り上げたヨーロッパ宇宙機関(ESA)が情報のいわば「まとめ」を出しています。ぜひ一読されるとよいと思いますが、日本語化してお届けしましょう。

カッシーニの最後の1週間の様子を表した図

カッシーニの最後の1週間の様子を表した図。11日にタイタンに最後のフライバイ、14日には土星の最後の写真を取得し、15日夜に土星大気に突入。(Image: NASA/JPL-Caltech)

カッシーニの最後に向けた動きはすでに始まっています。11日には土星の最大の衛星、タイタンの最後の写真を取得、14日には土星の最後の写真を取得します。そして、14日午後2時45分(アメリカ東部夏時間。日本時間では翌15日午前3時45分)には、探査機内のすべてのデータを地球へと送信します。
そして、15日午前4時54分(アメリカ東部夏時間、日本時間では午後5時54分)、カッシーニは土星の北緯10度付近の大気に突入、燃え尽きて消滅する予定です。

カッシーニからの最後の写真の到着は15日の正午(日本時間)までには到着するものと思われます。そして、カッシーニのミッション終了後、午後9時頃(日本時間)からは記者会見も開催される予定です。

カッシーニの状況については、メールやブログでの情報よりは、いまやリアルタイムで更新されるソーシャルメディア上の情報がもっとも早いと思われます。とりわけ、ミッションチームのツイッター、@CassiniSaturnは確実にフォローすべきでしょう。すべての情報はここから流れています。13日朝現在でも非常にたくさんの情報が頻繁に投稿されていますので、ぜひチェックしましょう。

カッシーニの最後のミッションで観測し続ける8つの装置

カッシーニの最後のミッションで観測し続ける8つの装置 (Image: NASA/JPL-Caltech)

ESAでは、今回のカッシーニのミッションの最後において知っておくべき8つの情報を紹介しています。せっかくですので皆様にもご紹介しましょう。

  • 土星から地球への信号到達は83分(1時間13分)かかる。土星(探査機)と地球との距離は約14億キロ。
  • 土星への最後の突入時には写真は撮影しない。写真を送るためには、通信速度が遅すぎるためである。そのため、より重要な他の観測機器の観測データ送信を優先させる。
  • 土星の最後の写真はそれに先駆けた14日(前述の通り)に取得し、そこには木星の衛星タイタン、エンケラドゥス、小衛星「ピギー」、土星の輪のプロペラ状の構造や土星本体、土星北極のオーロラなどの写真が撮影される予定。
  • 8つの観測機器(赤外・紫外スペクトロメーター、ガススペクトロメーター・磁力圏撮像装置、電波科学(装置ではない)、ダスト分析器、電波・プラズマ観測アンテナ、磁力計)が、最後の瞬間までデータ取得・地球への送信を行う。
  • 探査をこのような形で終了させるのは、20年(さらにいえば土星到着から13年)を経過し、探査機の燃料が枯渇したため、探査機が土星周辺で今後制御不能な飛行をすることが内容にするため、あらかじめ決定された軌道で安全に土星の大気へ突入させ、確実にミッションを終了させることになった。とりわけ、生命の可能性が取り沙汰されているエンケラドゥスに影響を与えることを避ける意味合いが強い。
  • カッシーニの最後の観測は4月から実施されており、土星本体と輪の間の2000キロほどの隙間を22回にわたって飛行する「グランドフィナーレ」というミッションを実施している。このミッションは、土星本体周辺のチリや小さな岩などの様子を捉えることが目的である。
  • これらの22回の軌道は、ESAの地上局の支援によって追跡が行われている。観測データだけでなく、到着した電波そのものも観測データとして重要である(土星大気の様子などが、届いた電波の周波数などの解析からわかります。上記の「電波科学」というのはそのような観測です)。
  • 11日に実施されたタイタンへの最後の接近は、タイタンの重力を利用したフライバイで、これによって最後の突入軌道へと向きを変える。

カッシーニの最後までもう間もなくです。打ち上げから20年にわたった探査、私たちもその最後を見守りましょう。