月探査情報ステーションをご覧の皆様、新年明けましておめでとうございます。

2013年は、月・惑星探査にとって、ひょっとすると将来「あの年が変わるきっかけだった」という年になるかも知れません。
2012年以前に到着した探査機は、月・惑星で活躍し、華々しい成果をあげています。火星で活動中のマーズ・サイエンス・ラボラトリー「キュリオシティ」や水星探査の「メッセンジャー」、月周回の「ルナー・リコネサンス・オービター」など、新世代の探査機がその性能を遺憾なく発揮し、新しいデータを量産、科学者がその中から真実を見出し、それぞれの天体の素顔に迫ろうとしています。
また、新しい探査に向けての胎動も始まっています。中でも、4月にNASAが突如として打ち出した「小惑星イニシアチブ」は、その大胆さと民間とのコラボレーションが注目すべき内容といえるでしょう。アメリカの宇宙へのアプローチを根本的に変えていくかも知れないこの計画は、私がいま最も注目している内容であり、民間小惑星資源探査を含め、今年も大いに注目していきたいと思います。
そして、日本でも大きく注目されたのが、アジアにおける月・惑星探査の動きでした。インドは11月に火星探査機「マンガルヤーン」を打ち上げ、中国は月探査機「嫦娥3号」を12月半ばに無事に月に着陸させました。この両者、そして日本も含めたアジアの「月・惑星探査競争」の動きは、日本として今後月・惑星探査にどのように向き合っていくべきか、という点を含め、世界にも大きな影響、示唆を与えるものといえるでしょう。
新しい探査機として、火星には「メイバン」、月には「ラディー」が打ち上げられましたが、共に天体の大気を探査するという点はユニークといえるでしょう。月・惑星探査が、天体全体を探るという「大まかな」探査から、知りたいことを絞って(当然、予算も重量も絞りますが)ピンポイントで探る形に切り替わりつつあることを示しているのかも知れません。

2014年は、月・惑星探査機はそれほど多く打ち上げられる年ではありません。しかし、私たちにとっては、大きな年になります。12月に予定されている「はやぶさ2」の打ち上げです。
4年という短いサイクルでの惑星探査機の開発、「はやぶさ」という大きな遺産を背負っての探査の実施は、関係者にとって少なからぬプレッシャーとなってきていましたが、それをはねのけ、現在順調に開発が進められています。
おそらく、時期が近づいてくれば社会的にも大きな話題となってくるだろうと思いますが、このサイトでは常に最初から見守るという姿勢をとっていますので、時流に流れず、じっくりと探査の本質を解説し、そして将来日本が進んでいくべき月・惑星探査、そして宇宙開発の流れを占うものとして、この「はやぶさ2」という探査計画を見守っていきたいと思います。

さて、月探査情報ステーション自身にとっては、2013年はいろいろと変わる予兆を秘めた年になったようです。
2月からはサイトに広告を導入し、この広告収入は現在、月探査情報ステーションの大きな収入源となっています。フェイスブックページの開設により、ソーシャルメディアを通しての交流もできるようになりました。
そして、9月には中秋の名月で28万ページビューという圧倒的なアクセスを記録、サーバーが一時ダウンしかけるというできごとがありました。これは、グーグルの検索で月探査情報ステーションが上位にランクされたためですが、これも本サイトが15年にわたって積み上げてきた成果が生かされたことではないかと考えています。
ただ、一方でページ更新をなかなかできなかったという点は反省すべきところです。また、メールマガジンも発行が遅れ(現在も遅れていますが)、編集長1人に頼りがちなサイトの運営がもろいものであることを自分自身も思い知らされました。
経済的な基盤が確立されつつあるいま、月探査情報ステーションの運営をどう変えていくか、私としても新たな挑戦を行なっていきたいと思います。

16年目に入る月探査情報ステーションは、今年も、月・惑星探査に関する情報を「正確に」「迅速に」「わかりやすく」伝えていくことで、皆様のお役に立てるようにしたいと考えております。
本年も、月探査情報ステーションを、どうぞよろしくお願いいたします。

月探査情報ステーション編集長  寺薗 淳也