ロシアのRIAノーボスチ通信は、地球落下が懸念されている火星探査機フォボスグルントについて、科学者が危険について十分認識していたにもかかわらず、打ち上げが実施されたと伝えています。
ロシア連邦宇宙局のウラジミール・ポポフキン長官は、ロシアのメディア、イズベスチアとのインタビューで、ロシアがこの探査に失敗しなかったとしても、50億ルーブル(約1億5700万ドル、日本円で約120億円)を失っていただろうと語っています(編集長注: 原文の意味が若干不明ですが、額からみてこの金額はフォボスグルントの開発費と思われます)。
「私たちは、以前に決定された条項に縛られてしまっていた。機器を提供してもらっていたヨーロッパ宇宙機関(ESA)との取り決めもあり、また、中国の探査機を打ち上げるという任務もあった。」(ポポフキン長官)
また、長官は、探査機の組立にあまりにも長い時間がかかりすぎ、多くの部品が寿命を迎えつつあったと述べています。実際、計画がスタートしたのは1999年で、打ち上げまで12年を費やしています。
(編集長注: もともとフォボスグルントは2009年に打ち上げられる予定でした。組立はその時点で完了していましたが、ロシア側は探査機に問題があるとして打ち上げを直前になって2年延期しました。)
長官は、相次ぐ打ち上げ失敗についての理由について特には述べませんでしたが(編集長注: この点については「外国の陰謀の可能性」と報じた外国報道機関の内容とは異なります)、ここ数年、ロシアの宇宙開発産業が衰退しているという点は認めています。
「私としては避難するつもりは毛頭ないのだが、今日、探査機に影響を与える強力な装置(直訳。言語はpowerful equipment to influence spacecrafts。(外国の)打ち上げロケットのことか?)もあり、その利用の可能性も排除してはならない。」(長官)
なお、こちらの記事では、落下場所についてはアフガニスタン付近と報じています。
・RIAノーボスチ通信の記事 (英語)
  http://en.rian.ru/news/20120110/170688080.html
・フォボスグルント/蛍火1号 (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/future.html#PHOBOSSOIL
・フォボスグルント/蛍火1号 (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/future.html#PHOBOSSOIL