ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、24日も、通信途絶となっていたロシアの火星探査機、フォボスグルントとの交信を継続しています。通信はESAが持っているオーストラリア・パースの通信施設を通じて行われています。現在、衛星との双方向通信が確立しているとのことです。
世界時で23日20時19分から24日4時8分(日本時間では、いずれも24日の5時19分から13時8分)にかけて、合計5回の通信機会を利用して、通信が試みられました。
ESAのフォボスグルント通信を担当しているウォルフガング・ヘル氏によると、1回目の通信ではテレメトリ(衛星の内部情報などを含んだ通信)の受信に成功、22日の通信に比べても非常に強いシグナルが得られ、衛星の位置同定にも役立ったということです。
2回目の通信は短時間で、地球側からのコマンド送信しかできませんでした。しかし、さらに厳しかったのは3〜5回目の通信可能時で、こちらでは受信も送信もできませんでした。
現在、ESAの技術者は、ロシアの技術者と協力し、フォボスグルントの探査機内部の状況もチェック中です。先ほどの2回の通信成功時には、フォボスグルントに搭載されている低利得アンテナがたまたま地球通信局(オーストラリアのパース側)を向いていたため、交信ができた模様です。
ESAのミッション運用責任者のマンフレッド・ウォーハウト氏は、「ロシア側はこのデータを使ってトラブルの原因を突き止め、我々が今夜(24日夜)送信するコマンド計画を立案することになるだろう」と述べています。
このウォーハウト氏の言葉にもあるように、ESAは引き続き、探査機の立て直しに向け、交信を試みる予定です。24日から25日にかけても、5回の通信機会があります。パースの通信施設は、フォボスグルントとの交信を最優先の任務として、通信を試みる予定です。
・ESAの記事 (英語)
  http://www.esa.int/SPECIALS/Operations/SEM5AJZW5VG_0.html
・フォボスグルント/蛍火1号 (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/future.html#PHOBOSSOIL