NASAとマイクロソフトはこのたび、火星探査に関するウェブサイトを協力して作成しました。サイトは今月(2009年11月)オープンしています。
このサイトは “Be A Martian” (火星人になろう)と名付けられ、NASAの火星探査計画によって得られた写真などを背景に、一般の人たちがいわば「市民科学者」となって火星探検を行い、火星の地図を更新したり研究の一翼を担うことによって、火星探査を行っている科学者たちを手助けすることができる、というサイトです。
NASA本部の火星探査プログラム長であるダグ・マッキンストン氏は、このサイトのオープンに寄せて次のように述べています。「私たちはいま、誰もが探検者になることができるという、歴史の転換点に立っている。火星探査によって得られた膨大な量のデータが、誰にとってもアクセスできるものとなったいま、火星を探検することは、人類が共有できる行為となっている。世界中のすべての人々が助け合い、数百人しかいない火星探査のスペシャリストたちを支え、彼らが望む真摯な貢献を行うことができる。」
このサイトの参加者たちは、火星全体の映像を見る前に、火星に存在する太陽系で最大の峡谷、マリネリス峡谷の画像を、探査データから呼び出すことができます。何千人もの協働探査者が協力し合うことで、科学者たちはよりよい地図、より詳細なズーム図が得られ、そして火星表面の変化を知ることができます。
クレーターを数えることで、科学者が火星表面の年代を知ることを手助けできます。これまでは、クレーターを数えるという行為は、量が膨大なことから非常にたいへんなことでした。今回のような仕組みにより、ウェブサイトのユーザは、彼らが選んだアバター(ウェブサイト上の仮想のキャラクター)を助けることにより、ゲームで得点を得ることができます。
デジタル時代の労働力の開発、生涯にわたる科学技術・数学などの教育といった共通のゴールに向け、今回、NASAとマイクロソフトが協力してこのサイトを立ち上げました。このサイトは、今週ロサンゼルスで開催された、マイクロソフトのプロフェッショナル開発者会議ではじめてお披露目されました。またこのサイトでは、膨大な量の火星探査画像を、学校や探査チームがオンラインで解析できるようにするためのツールを開発者たちが作成したりできることも考えられています。
マイクロソフトのデベロッパー・プラットホームエバンゲリストグループのワリド・アブ−ハドバ氏は、「NASAやマイクロソフトのように技術の頂点に立つものは、科学技術教育について、既得権ばかりではなく社会的責任も追及しなければならない。火星探査データに触れ、次世代の科学者・技術者たちに興味と興奮を与える、そのような仕事をNASAと一緒に行えたということを非常にうれしく思っている。」と述べています。
さらに多くの人々に参加してもらえるよう、このサイトにはバーチャル市役所が存在します。ここでは、ユーzどうしが互いに質問し合って、どれがもっともそのコミュニティにとって興味深いかを投票することができるシステムがあります。また、火星の専門家とオンラインでその質問について話すこともできます。また、火星表面をインタラクティブにみることができる機能や、火星探査に加わっているいろいろな分野の人たちについての映像を見ることもできます。
「火星探査はすべての年代の人々を刺激するものだ。私たちは、特に若い人たちが、自分自身で火星を探検して欲しいと思っている。将来の探検者たちに、私たちの火星についての理解を伝える貴重でクリエイティブな機会を得られたことを非常に誇りに思っている。」(NASA ジェット推進研究所(JPL)所長のチャールス・エラーチ氏)
・NASAのプレスリリース (英語)
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/nov/HQ_09-268_Be_a_Martian.html
・Be A Martian (英語)
※なお、主要な機能を使用するためには、Microsoft Silverlightのインストールが必要なようです。
  http://beamartian.jpl.nasa.gov/