今年11月に打ち上げが予定されているNASAの火星探査機メイバンに、名前やメッセージを搭載するというキャンペーンが始まりました。
メイバン(MAVEN: Mars Atmosphere and Volatile Evolution)は、火星の大気や揮発性物質を探る探査機で、この探査機に名前やメッセージを記録したDVDを搭載します。このキャンペーンは、コロラド大学ボールダー校大気・宇宙科学研究所が主催する「火星に行こう」キャンペーンの一環として実施されます。

DVDには、このキャンペーンに応募したすべての名前が搭載されます。また、「俳句」形式で3行のメッセージを搭載できるコーナーもあります(こちらについては任意です。また、俳句は英語での投稿となり、日本語では受け付けない…と思われます)。キャンペーンは5月1日スタートで、7月1日まで実施されます。メッセージ(俳句)は一般の人からの投票を受け付けた上で、上位3位までがDVDに搭載されます。名前搭載に応募した人は、キャンペーン参加証明書をオンラインで受領できます。
募集ページは英語ですが、世界中誰でも参加できます。

本キャンペーンについて、メイバンの教育・アウトリーチ関連のリーダーを務める同研究所のステファニー・レンフローさんは、「この『火星に行こう』キャンペーンは世界中の人々に、宇宙、惑星探査そして一般的な科学への1人1人のつながりを作っていくもので、メイバンというミッションに私たちが感じる気持ちの高まりを、みんなが感じられるとよいと思う。」と述べています。

メイバンの主任研究者である、同研究所のブルース・ジャコスキー氏は、「今回のキャンペーンは、次の探査を担う次世代に科学・技術・工学・数学(編集長注: 原語ではScience, Technology, Engineering and Math. 英語ではこの頭文字をとってSTEM=ステムと略し、いわゆる理数系教育という意味で重要視する)の面白さを伝える良い機会になると思う。世界中のコミュニティと私たちの科学を分け合えることを楽しみにしている。メイバンは、火星大気に何が起きてきたのか、その証拠を少しずつつなぎあわせていくことになるだろう。」と、このキャンペーンの意義を強調しています。

メイバンは、火星の大気、とりわけ上層大気を中心に探査することを重点に計画された探査機です。日本がかつて打ち上げた「のぞみ」とコンセプトは非常によく似ています。火星の上層大気からどのように、そしてなぜ大気、そして揮発性物質が失われたのか、その謎を探ることを目的としています。その謎は、現在の火星の姿がどうやって作り上げられてきたのか、というより大きな謎に直結しているのです。

「今回の探査は、NASAの火星探査への継続的な取り組みを表すものであり、人々を興奮させてきた探査の歴史を引き継ぐものである。」(メイバンのプロジェクトマネージャーである、NASAゴダード宇宙飛行センターのデビッド・ミッチェル氏)