1月19日、古川元久・宇宙開発担当大臣が、古川聡宇宙飛行士の長期滞在について報告する、国際宇宙ステーション長期滞在ミッション報告会を訪れ、その席で、将来的に日本人を火星へと送るような夢のある計画を打ち出したいと述べました。
渋谷区文化総合センターで開催された今回の催しでは、古川大臣はまず、日本の宇宙開発が世界でも最先端にあることに触れ、宇宙ステーションをはじめ、そのための補給機「こうのとり」(HTV)や地球観測衛星が、国際的に大きく貢献していることに言及しました。
さらに、フロンティアへの挑戦が日本に元気をもたらすと述べ、「日本人による有人火星探査という大きな目標を立ててみてはどうか」と語りました。そのような夢のある目標に向かうために、日本の宇宙開発全体の技術力をさらに向上させていくべく、基礎技術の開発はもちろん、民間企業などによる宇宙開発産業を振興するための各種取り組みにも全力であたると述べました。
最後に、こういった大きなプロジェクトに関しては国際協力が不可欠であるとし、「いつの日か、世界と一緒に日本が作ったロケットで、他の国の宇宙飛行士とともに日本人宇宙飛行士が惑星探査に飛び立つ日が来れば、それは世界中に夢と希望を与えると共に、私たち日本人にとっても大きな誇りとなります。」と述べ、国際協力の下に宇宙開発を推進していくべく、日本国内の宇宙開発体制の整備にも全力を挙げると述べました。その端緒として、まずは内閣府内に「宇宙政策委員会」を、また同時に「宇宙戦略室」を設置する予定とのことです。
実際、このような国際共同火星有人探査がいつ実現するのか、あるいはそもそも各国がそのような取り組みを歓迎するか(特に先進国が経済難に軒並み苦しむいまの状況は、そう簡単に宇宙開発への巨額投資を許さない環境ともいえます)はわかりませんが、日本政府の大臣がこのような宇宙開発・宇宙探査構想を提案してきたことは、将来にわたって宇宙開発を日本の科学技術の大きな柱にするという意志の表れと考えてよいでしょう。
・古川宇宙開発担当大臣スピーチ全文 [PDFファイル] (宇宙開発戦略本部)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/daijin/120116speech.pdf