これまで、計画は伝えられてきたものの、打ち上げ年度がはっきりとしていなかったロシアの月探査機「ルナ・グローブ」について、ロシア宇宙庁のポポフキン長官がこのほど、2015年の打ち上げを言明しました。ロシアはルナ・グローブを含めて4つの月探査計画を持っており、最終的には月面基地を構築することを考えているようですが、ルナ・グローブはその第一弾となるものです。

ルナ・グローブは月の周りを周回する探査機で、科学機器(ペイロード)の重量は120キログラム、天体物理観測機器や月周辺のダストの観測装置、同じく月周辺のプラズマのモニター装置などを搭載していきます。
計画自体は1990年代にスタートしたものの、ロシアの国家財政の危機などから計画は大幅に遅延、その後2012年の打ち上げを目標として計画を再開させました。さらにその前には2010年打ち上げ、その後には2014年打ち上げとなってきましたが、今回、2015年が「確定」したことになります。

さらに今回のルナ・グローブで注目されるのは、打ち上げ場所がカザフスタン領内のバイコヌール宇宙基地ではなく、現在極東のアムール州に建設中のロシアの新しい宇宙基地、ボストーチヌイ宇宙基地になるということです。ボストーチヌイ宇宙基地は従来完成が2010年代後半とされてきましたが、このルナ・グローブの打ち上げが「こけら落とし」(初打ち上げ)となる予定です。

また有人での月探査について、ポポフキン長官は、将来のロシアの有人月探査の実施のための大型ロケットの設計に関し、1000万ルーブル(日本円で約3000万円)の入札を実施すると語りました。有人月探査を行える大型ロケットの開発のための予算ですが、以前には、長官は2018年までには有人月探査用のロケットは打ち上げないと明言しています。
これは、ロシアが早ければ2020年までに有人月探査を実施する可能性を示唆するものです。ただ、現在のロシアの宇宙開発の状況をみる限り、ルナ・グローブも含めて、このような一連の計画が実行できるかどうかは余談を許さない状況です。今後も引き続き情報を注視していく必要があります。