アメリカを公式訪問していた韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が、公式日程の中の訪問先として、メリーランド州にあるNASAのゴダード宇宙飛行センター(GSFC)を訪問しました。

ロボットアーム操作を行う朴槿恵大統領 (Photo: NASA)

ロボットアーム操作を行う朴槿恵大統領。右側で説明しているのは、ゴダード宇宙センターのロボット操作責任者であるブライアン・ロバーツ氏。 (Photo: NASA)

NASAの記事によると、大統領はこの席でこれまでのアメリカと韓国の宇宙開発における協力関係、及び現在ゴダード宇宙飛行センターで行われているプロジェクトについての説明を受けたとのことです。

また、中央日報日本語版の記事では、このセンター訪問では特に月探査について言及し、「月探査に対する韓米間協力が拡大し、宇宙分野でも両国の協力が拡大して宇宙資源も共有できる契機になることを願う」と述べたとのことです。また、月探査機を2020年までに打ち上げる計画についても触れ、月探査機の開発自体以外にも、そこで培われた周辺技術が韓国の技術レベルを押し上げることの重要性について述べたようです。

さて、このGSFCというセンターは、主に地球観測衛星などのプロジェクトを中心になって推進するところで、もし朴槿恵大統領が月探査に本腰を入れているということをよりアピールしたいのであれば、月・惑星探査を主導するNASAのジェット推進研究所(JPL)を訪れるというパターンもあったのではないかと思います。
しかし、GSFCは実は、アメリカの月探査機であるルナー・リコネサンス・オービター(LRO)を開発した場所でもあります。この点が韓国側の頭にあったとすれば、絶妙な選択であるといえましょう。もちろん、アメリカのオバマ大統領との公式会談などの日程を考えると、ワシントンから離れているJPLよりは、ワシントンにほど近いGSFCを訪問する方が時間的にも有利であったということはあるかと思います。

一国の大統領がNASAを訪問するということが、今後アメリカと韓国における宇宙開発協力、特に月探査計画における協力にどれくらい影響するのかは、今後の動きをみてみないとわかりません。しばらくは韓国の宇宙計画について、その予算や計画の面などからの進捗状況をみていくことが必要でしょう。