これまでこのブログでも韓国の月探査について取り上げてきましたし、その論調はどちらかというと「本当にできるのか?」という、やや疑いをかける内容でしたが、韓国はそれでも、本格的に月探査に進むようです。
韓国は、今後自国の産業育成の一環として宇宙開発を先端産業として重点的に育成する方針を固め、その中で月探査についても本格的に進めることになった模様です。2月28日付の韓国・聯合ニュース(日本語版)が伝えています。
それによると、韓国は今後3年間にわたって月探査に1978億ウォン(日本円で約180億円)を投資し、将来の宇宙における活動領域の確保に向けて月探査を推進する、とのことです。これがどのような意味なのか(例えば、ヘリウム3のような資源の確保を意味するのか、技術的な優位を確保するという意味なのか、あるいはもっとほかの意味があるのか)はわかりませんが、いずれにしてもそれだけの金額を投資しても月探査を推進するということは確かです。
なおこの180億円には、地上でのデータ受信設備や実験機の設計・開発が含まれるということです。
当初の計画では、韓国は2020年にも、自国ロケットで月に向けて着陸機およびローバーを打ち上げるということになっています。今後3年で実験機を開発し、最後1年で実機開発へ持ち込むというストーリーなのか、多少遅らせる予定なのかといった全体的な計画は記事には掲載されていません。
個人的には、韓国の月探査は、もし自国開発のロケットで進めるとするならば、2020年には間に合わないとみています。ただ一方では、最近の韓国における産業の不振状況を受けて、国が新産業育成に非常に力を入れていることもまた確かです。
宇宙開発は技術の蓄積が重要で、一朝一夕に成功が保証されるものではありません。いま宇宙開発先進国と言われている国々も、そうやって技術を育て、失敗を重ねて今の地位を築いてきています。韓国がもし、一足飛びに「宇宙開発先進国」の名を欲しがるとすれば、それは極めて危険かつ無謀な行為であり、一歩々々足元を固めて、実績を作ることから始めるべきではないかと思います。