たいへん心配なニュースが入ってきました。
グーグル・ルナーXプライズ(GXLP)に参加しているインドのチーム「チーム・インダス」が、ロケットの調達に失敗した可能性があると、インドのウェブ系メディアの「ファーストポスト」(FIRSTPOST)が伝えています。
これだけならまだ大したことはないのですが、実はこのGXLPに参加している日本のチーム「ハクト」(HAKUTO)は、チーム・インダスが調達した(するはずだった)ロケットに相乗りする形で打ち上げられることになっています。もしこれが事実だとすると、ハクトの打ち上げもできないことになってしまいます。

月面ローバー「ハクト」の最終デザイン

月面ローバー「ハクト」の最終デザイン (© HAKUTO/KDDI)

チーム・インダスとハクトのローバーは、インドのロケット「PSLV」によって、3月末までに打ち上げられる予定でした。
記事によると、複数のインド宇宙研究機関(ISRO)の情報源から、今回このPSLVの打ち上げ契約に必要な3000万ドル(日本円で約30億円)が調達できなかったとの情報が入っているとのことです。なお、契約はISROと直接行うのではなく、ISROの関連会社で、PSLVなどの打ち上げサービスを提供しているアントリックス(ANTRIX)という会社と行うことになっていますが、いずれにしてもロケット打ち上げの契約ができなかったということになります。

なお、この情報はウェブメディア「The Ken」というところの記事が元になっています。このThe Kenは基本的に有料メディアで、より詳細な内情を伝えていますが、その点については省略します。いずれにしても、もしこれが本当であれば、打ち上げができない(少なくともGLXPの達成期限である3月までに打ち上げできない)事になります。それはまた、同じロケットに乗っていくハクトのローバーが月に到達できないということでもあり、ハクトにとっては大変な問題を抱えてしまったことになります。

また同じくThe Kenによれば、チーム・インダスは以前から問題を抱えており、資金調達ができたとしてもGXLPの期限までにローバーを仕上げ、打ち上げに間に合わせることができないことは明らかだったとのことです。
さらにファーストポストの記事では、The Kenの記事を引用する形で、打ち上げに欠かせない基幹部品である慣性航法ユニット(IMU: 衛星やロケットの位置や姿勢を知るための部品)が昨年末までに届いていないなど、チーム・インダスがかなり混乱した状況にあったことに触れています。

いまのところ、チーム・インダス、ハクト、どちらからも情報は出ていません。
The Kenの記事自体もソースが明示されておらず、また、インドの他の通信社から類似の記事は出ていません。
従って、この情報をすぐ額面通りに受け取るべきなのかはまだわかりません。ただ、このような情報が出てきているということは、ハクトにとってもたいへん厳しい状況であるといえるでしょう。

ただ、もしこの問題が事実であるとすれば、両チームとも解決に向けて動いていると思われます(少なくとも、そう信じたいです)。心配ではありますが、私たちにできることは、ただ1つ、しっかりと見守り、情報を待つことかと思います。

【1月12日午前10時30分】1箇所、軽微な表現の修正を行いました。
(旧) 慣性航法ユニット(IMU: 衛星やロケットの位置を知るための部品)
(新) 慣性航法ユニット(IMU: 衛星やロケットの位置や姿勢を知るための部品)

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