NASAの月探査機グレイルは、当初の探査予定期間を終え、延長探査期間に入りました。
グレイルは、2機の探査機からなる極めて珍しい構成の探査機です。月の上空を組になって飛行し、2機の飛行データを集めることで、月の極めて詳細な重力場データ(表側)を作成することを目的にしています。重力場データができることで、月の地下構造、内部構造などの詳細が明らかになると期待されています。
なお、この2機の探査機は、「エブ」と「フロー」(引き潮と満潮の意味)と名付けられています。
基本探査期間は3月1日から5月29日までの約3ヶ月でした。この間、探査機は平均高度55キロという、いわば月の地表すれすれの高度で飛行し、データを集めてきました。
延長探査期間は、8月30日から12月3日までとなります。この延長探査期間では、高度は更に下がって上空23キロとなります。高度を下げて飛行することで、より詳細な重力データを得られることになります。23キロという高度は、ミッション達成と探査機の安全の両方を勘案したギリギリの高さということになります。
8月30日の午後0時28分現在(アメリカ東部夏時間。日本時間では31日午前1時28分)、2機の探査機は「嵐の大洋」上空30キロを飛行しています。
探査の主任科学者である、マサチューセッツ工科大学のマリア・ズーバー教授は、「基本探査期間に集められたデータは現在解析が行われており、これまでにない精度の重力マップができ上がる予定だ。延長探査期間により低い高度での探査が行われることで、月についてのより詳しいデータを得ることができるだろう。特に、浅い地殻についての詳細なデータが得られるのではないだろうか。」と、延長探査についての期待を語っています。
・JPLのプレスリリース (英語)
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?release=2012-273
・グレイル (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/history/GRAIL/