嫦娥1号の総指揮兼総設計師(事実上のプロジェクトマネージャー)を務めた葉培建氏は、南京で講演した際、中国の有人月着陸が2025年頃行われるという見通しを明らかにしました。中国新聞網(25日付)を引用する形で人民網日本語版が伝えています。
この記事によると、葉氏は、中国が月に行く理由として国連の条約を挙げ、「今日行かなければ、将来行きたくても行けなってしまう。だがら行けるときに行かなければならない」という事実こそが中国の(有人)月探査の理由であると述べています。
(編集長注)記事中には宇宙条約と思われる条約に言及した話が出てきます。葉氏は、「国連の関連条約は『月は全人類のものである』としている。これは良い。だがその後には『開発した国が利用する』との文言もある。」と述べたと記事中には書かれています。
宇宙条約では、第2条で、「月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。」と述べています。これは、葉氏の発言の前半部分と符合しており、問題はなさそうです。
しかしその後半、「開発した国が利用する」という文言については、宇宙条約、及び月協定にも該当する文言はありません。むしろ、宇宙条約の第3条にある「条約の当事国は、国際連合憲章を含む国際法に従って、国際の平和及び安全の維持並びに国際間の協力及び理解の促進のために、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における活動を行わなければならない。」という部分を考えると、到達したかどうかにかかわらず、国際協力により月などの天体の利用活動を行うべきである、と考えられます。
従って、葉氏がどのような理由のもとに、上記のような発言を行ったのかは不明ですが、その発言の真意がどのようなものであるかについては、注目してよいでしょう。
・人民網日本語版の記事
  http://j.people.com.cn/95952/7627254.html
・宇宙条約 (月探査情報ステーション・Q&A「資料室」)
  http://moonstation.jp/ja/qanda/materials/space_treaty_full.html