NASAはこのほど、将来の月探査に備え、先進月探査実証データ(ILDD: Innovative Lunar Demonstration Data)プロジェクトの調達のため、民間企業3社と契約すると発表しました。調達したデータは、将来の月探査、とりわけ、無人月着陸・ローバー探査のために使われるとのことです。
契約を取り交わした会社は以下の通りです。

  • アストロボティク・テクノロジー社
  • ダイネティクス社
  • ムーンエクスプレス社

これらの会社は、10月にILDD関係で契約を行った6社のうちの3社です。
契約額は、当初は各社50万ドル(4000万円)ですが、最終的には、合計で約3億ドル(240億円)の契約を5年間で行う可能性もあります。
ILDDプロジェクトにおいて提供されるデータには、打ち上げから着陸、月面活動に至るまでの一連の過程において必要となるデータが含まれます。NASAはこのデータを用いて、将来の無人・有人の月探査に必要な技術を得ることになります。
(編集長注)このニュースでは、この3社がいずれも、民間ベースの月着陸探査競争「グーグル・ルナー・Xプライズ」に参加していることが注目です。NASAはこのような契約を交わすことにより、民間の競争によって得られた(低価格で)質のよい技術を入手することができるというメリットがあります。一方で、これらの企業は、NASAとの契約があるという点を活かして、資金調達などの面で有利に交渉を進めることができます。
どちらにもメリットがあるこの契約は、これからの月探査技術開発の形としてもユニークであり、注目されます。
・NASAのプレスリリース
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2010/dec/HQ_10-344_ILDD_Selections.html
・グーグル・ルナー・Xプライズ (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/topics/company/GLXP.html
・NASA、月着陸についての技術契約を民間6社と締結 (月探査情報ステーションブログ、10月18日付)
  https://moonstation.jp/blog/?itemid=333