以前にも記事を書きましたが、嫦娥2号の探査シナリオについて、地球への帰還を目指すという驚くべき案が検討されていることが人民網日本語版で報道されています。
今回、月へ向かう途中での軌道修正が大幅に省略できた関係で、燃料にかなりの余裕があることから、半年を経過した時点でもかなりの燃料が残っている可能性が高いため、地球へ帰還することも検討されているとのことです。
なお、ほかには「深宇宙への飛行」「月面着陸」などの案も検討されているようです。
※編集長注…地球帰還や深宇宙への飛行は、理論上は燃料が十分にあれば可能です。深宇宙への飛行は、1994年にアメリカが打ち上げた月探査機クレメンタインで、実際に計画されていましたが、月軌道を離脱する際にエンジンの故障が発生し、探査機は行方不明となりました。
選択肢としての「月着陸」ですが、実際に嫦娥2号がそのような装備を搭載しているのかはわかりません。また、着陸が実際には何を意味するのか(軟着陸なのか、激突するような硬着陸…ハードランディング…なのか)も不明です。
さらに、記事中にある「サンプルを持ち帰る」ですが、サンプルとはいっても着陸してまた戻ってくるわけではないので、地球と月の間の宇宙のちり(宇宙塵)を持ち帰ることという解釈が妥当でしょう。
また、嫦娥2号の探査期間が半年であるという点も注目です。これはこの記事ではじめて明らかになったことですが、これほど探査期間が短いということは、その間に一気に膨大なデータを集めるのか、探査終了後に(記事にあるような)何らかのチャレンジを行うのか、このあたりも今後調べていきたいと思います。
・人民網日本語版の記事
  http://j.peopledaily.com.cn/95952/7166731.html
・嫦娥計画 (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/history/Chang_e/