2010年10月に打ち上げられ、半年間月を周回したあと、地球と太陽のラグランジュ点へ移動して探査活動を続けている嫦娥2号ですが、さらになんと、小惑星とのランデブーを行う計画が持ち上がっていることがわかりました。
もとの中国語の記事を翻訳・紹介し、Twitterでのつぶやきとして伝えている人たちの情報によりますと、目的地となる小惑星はトータチスという小惑星で、来年の1月にランデブー予定とのことです。
なお、このトータチスという小惑星は、地球に近い軌道を周回する「地球近傍小惑星」の1つで、かつて1994年に打ち上げられたアメリカの月探査機クレメンタインは、2ヶ月の月周回探査のあと、この小惑星に向かう予定でした。この時にはスラスターの不具合により探査機は予定の行動を取れず、そのまま行方不明となりました。
※現在中国自身が有人宇宙船神舟9号の報道一色ということもあって、嫦娥関係、とりわけすでに「探査が終わっている」という認識が広がっている嫦娥2号についての情報は少なかったわけですが、この小惑星への飛行は、中国の宇宙開発にとって大きな意味を持ちます。
まず、ラグランジュ点への飛行に続いて深宇宙探査を精力的に推し進めるということは、彼らがこういった深宇宙探査に次第に習熟しつつある、あるいは将来的にそうなるということを示しています。探査の成否はどうであれ、ラグランジュ点や小惑星などへの飛行技術が将来の月・惑星探査、さらには深宇宙探査に大いに活かせることはいうまでもありません。
もう1つは、こういったことを経験した(おそらくは)若い世代が、今後の中国の宇宙開発の先頭に立つのだということです。ちょうど、「はやぶさ」を動かしてきた世代が30代を中心とする若い世代であったように、この嫦娥2号を動かしている世代がもし若手であるとすれば、このあと10〜20年の中国の月探査、あるいはその先にあると思われる火星探査に向けて、人材という大きな資産を築くことになります。
なお、本記事の詳細については、下のTogetterのまとめをお読みください。中国語原文記事へのリンクなども多数含まれています。
・Togetterにおけるまとめ 「嫦娥二号は静かに小惑星を目指していた」
  http://togetter.com/li/321200
・嫦娥計画 (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/history/Chang_e/