【記事内容を改訂したため、書き込み日時を変更しています】
中国初の月探査機で、今年3月まで探査を実施していた嫦娥1号のデータを元に、このほど中国の科学者は、月の表側にある火山地形「玉兔」、クレーター「呉剛」及び裏側の衝突盆地を発見したと発表しました。科学網、人民日報、新華社などが報道しています。
それによると、発見者は上海科学院の平勁松研究員を代表とする研究グループです。同グループは、嫦娥1号に搭載されたレーザ高度計による月の3次元データをまとめ、月表面の地形について研究しました。その結果、月の表側にある「嵐の大洋」の中に、2つの火山地形を確認することができました。
1つは、北緯25度、東経310度。もう1つは北緯14度、東経308度です。前者は半径がおよそ250キロメートルで、高さは3000メートルほど。後者は半径が300キロで高度は約2000メートル。共に火山性の地形の特徴を有しているということです。
この2つの地形が位置している場所は、月の地形でも有名なアリスタルコスクレーターに近い場所にあります。このクレーター付近には、火山地形(溶岩が流れたあと)と考えられるシュレーター谷も存在しています。
研究チームでは、中国の伝説にちなみ、北部地形を「桂樹山」、南部地形を「玉兎山」と名付けています。この地名については国際機関(注)への申請を行っているとのことです。
なお、上海天文台の研究者は、「かぐや」のVLBI探査にも参加しています。また、記事では、「かぐや」データでもこの地形が識別できる、と書かれています。
これほどの地形が今回の探査まで発見されなかった理由として、平研究員は、この地形が傾斜1〜2パーセントときわめて緩やかな傾斜を持っていること、また近隣のクレーター(コペルニクスクレーターやケプラークレーター)からの反射光で見分けがつきにくかった可能性などをあげています。
また、研究者グループでは月の表側にある山脈「アペニン山脈」について、その地下構造を調査しました。その結果、山脈の地下に大きな断層(記事中では「断裂帯」)が存在しており、月内部に何らかの運動が(かつて)あったことを示していると考えられます。
(編集長注)今回「発見された」玉兔火山ですが、記事中で「玉兔」と書かれているのは、中国の伝説に出てくる月のうさぎ「玉兎」と思われます。
月の地名については国際天文学連合(IAU)が管理しているため、正式な名称はIAUの承認後になります。
さらに、ここで出てきている「裏側の衝突盆地」とは、「かぐや」でもその詳細が明らかになった南極ーエイトケン盆地(サウスポールーエイトケン盆地)のことかと思われますが、この点についても情報が少ないため、詳細は不明です。
今後この件については継続して情報を収集してまいります。
・嫦娥一号在月球正面发现“玉兔”火山 (科学網: 中国語)
  http://www.sciencenet.cn/sbhtmlnews/2009/11/225698.html
・“嫦娥”一号发现月球正面的“玉兔”火山 (新華社: 中国語)
  http://news.xinhuanet.com/tech/2009-11/11/content_12432255.htm
・我探月发现“玉兔”山 为何此前被隐藏?  (人民日報: 中国語)
  http://scitech.people.com.cn/GB/10383065.html
・月正面の「玉兔」火山を発見 「嫦娥」1号 (中国通信社)
  http://www.china-news.co.jp/culture/2009/11/cul09112003.htm
・嫦娥 (月探査情報ステーション)
  http://moon.jaxa.jp/ja/history/Chang_e/
本記事は、大谷俊典様のご協力をいただきました。