中国初の月探査機「嫦娥1号」ですが、搭載していた観測機器により、月の土壌の厚さ測定に成功していた、という記事が、人民網日本語版に掲載されています。解放日報の16日付の記事を引用したものです。
これによると、嫦娥1号に搭載されていたマイクロ波探査装置(記事中では「マイクロ波リモートセンシングシステム」)により、月の土壌の厚さに測定し、その功績により、この土壌厚測定プロジェクトが国家自然科学賞2等賞を授与されたとのことです。
記事には、この測定システムが地球観測衛星にも応用されていると記されています。
(編集長注)ここで言及されているシステムは、いわゆるマイクロ波によって月面の地下の様子を測る(具体的には、地下に浸透した電波の反射によって地下構造を知る)装置ではないかと思われます。「かぐや」に搭載されているレーダサウンダーと同じ原理の装置と思われます。なお、記事中には同様の装置が地球観測にも使われていると書かれていますが、もし上記のように、月観測用の装置がサウンダーだとすると、同様の原理の観測装置は使えず(月は揮発性物質が少ないため電波が地下まで浸透しますが、地球はそうはいかず、吸収されてしまうためです)、こちらは合成開口レーダー(SAR)を指すのではないかと思われます。同じマイクロ波を使っているシステムのため記者が混同した可能性があります。
・人民網日本語版の記事
  http://j.people.com.cn/95952/7732219.html
・嫦娥計画 (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/history/Chang_e/