インドの月探査機、チャンドラヤーン1が搭載していた月衝突装置(MIP: Moon Impact Probe)について、科学者の中には、観測装置として認めていなかった人もいたことを、探査に関わるインドの科学者、ナレンドラ・バンダリ氏が認めたと、29日付のMoon Dailyが伝えています(なお、原記事はPress Trust of Indiaによるものです)。
MIPは、当時のインド宇宙機関総裁アブデュル・カラム氏の意向により、チャンドラヤーン1の11番目の観測機器となりましたが、科学者には、このたった28キロの装置より、ほかの装置を積むべきであるという意見もあったそうです。
「28キロもの重量を抱えて、最後は月にぶつかるだけの装置なのに、ほかの10個の装置は全部合わせると50キロだ」(つまり、観測装置全体の半分もの重さの1個の装置を積むべきではない、ということ)(バンダリ氏)
しかし、MIPが衝突直前に、月の大変詳細な写真を送ってきたことで、科学者の態度も一変したとのこと。その科学者の誰も、月の上空6キロからの写真はみたことがなかったからです。
MIPは南極のシャックルトンクレーター付近に衝突し、インドの月探査の証となりました。
MIPに搭載されていたカメラは最終的には、解像度5メートルという大変高い解像度で月の写真を捉えることができました。
このような科学的な成果だけではなく、このMIPにより、月着陸技術についても大きな進展が得られました。
・Moon Dailyの記事 (英文)
  http://www.moondaily.com/reports/Moon_Impactor_Probe_Silenced_Sceptics_999.html