NASAは22日(アメリカ現地時間)、エクアドルがアルテミス協定の26番目の調印国になったと発表しました。ワシントンのエクアドル大使館で、エクアドルのグスタボ・マンリケ・ミランダ外務大臣と、NASAの国際・機関間調整担当副長官が調印書に署名しました。
アルテミス協定(アルテミス合意)は、NASAが主導する有人月探査計画「アルテミス計画」において、その参加国が遵守する内容をまとめたガイドラインです。例えば平和目的での活動の実施、透明性の確保、相互援助、宇宙遺産(これまでの探査において残された人工物)の保護、宇宙資源採掘の実施においての制限などです。これまでに日本を含めた26カ国が署名しています。
日本は2020年に、オーストラリアやアラブ首長国連邦(UAE)などと共に、署名した最初の8カ国(アメリカを含む)の一つとなっています。
今回のエクアドルの加盟は、南アメリカではブラジル、コロンビアに続く3カ国目となりました。もう少し広めに捉えると、ラテンアメリカとしてはさらにメキシコがすでに調印済みです。
NASAのビル・ネルソン長官は、「本日エクアドルは、将来のために宇宙空間を保護することにコミットするグループに加わった。この探査の黄金時代に成し遂げられた成果は、アルテミス世代の人々--私たちの国、そして地球全体に利益をもたらすことだろう。」と述べました。
また、イボンヌ・A-バキ駐米エクアドル大使は、「アルテミス合意に署名することは、国際社会に対し、エクアドル政府が最先端のテクノロジーを追求することを約束し、また持続可能な成長を促進するためのイノベーション・投資・労働力開発、そして人類社会最大の問題を解決するための国際協力に対し、常にオープンな姿勢であることを示すものである。」と述べて、国際協力の観点からのアルテミス合意の署名の意義を強調しています。
また、フェルドスタイン副長官は、「エクアドルは、人類の宇宙空間、特に月とその先の範囲への急速な勢力拡大は、平和で安全であり、また国際法に準拠しているという考えを持っている、多くの成長し多様性を持つ国々の声に加わっている。」と述べ、エクアドルのような発展途上国がアルテミス合意に加わることの意義を強調しました。
実際エクアドルの宇宙活動はまだ目立ったものはありませんが、今後南アメリカ、あるいはラテンアメリカ諸国の成長の中で、次第に宇宙開発の機運が高まってきた際、この合意調印は大きな役割を果たすことになるかも知れません。
- NASAのプレスリリース