アメリカ版はやぶさとも呼ばれる小惑星探査機「オサイレス・レックス」について、NASAはこのほど開発段階への移行を承認しました。2016年に予定されている打ち上げに向けて大きな前進となりました。

この5月15日に行われた確認審査会で、NASAの関係者が、オサイレス・レックスのチームから提出された開発計画についての検討を実施し、問題がないとして、開発段階への移行を承認したものです。
この、開発段階への移行は、NASA内部では「重要ポイントC」(Key Decision Point-C、KDP-C)と呼ばれています。日本でも、衛星開発は何段階化のステップを踏みますが、例えばフェーズCは一般的に設計段階、フェーズDは開発段階、フェーズEは打ち上げ後の運用段階とされます。それでいいますと、設計段階から実際の打ち上げ機体を作る開発段階(フェーズD)への移行が承認されたというふうにいえます。

オサイレス・レックスのプロジェクトマネージャーで、NASAゴダード宇宙飛行センターのマイク・ドネリー氏は、「KDP-Cを無事通過できたことは、このプロジェクトにとっても重要なポイントとなる。これにより、NASAが我々の計画を実行可能と認めてくれたことになり、私たちは本格的にプロジェクトへと向かっていくことになる。開発チームは、設計に従って実際に衛星を作り始めることになる。」と述べています。

オサイレス・レックスの主任研究者で、アリゾナ大学のダンテ・ローレッタ氏は、「今回の審査を乗り越えるため、プロジェクトチームのメンバーは一生懸命働いてきた。(最終的な目的地の小惑星である)ベンヌまでの道はまだまだ長いが、私はそこへ行けると確信している。すでに小惑星からサンプルを取得するための画期的なシステムの開発も行っている。」と、プロジェクトの成功に自信をみせています。

オサイレス・レックスは、NASAでははじめてとなる小惑星サンプルリターン探査で、目的地は地球近傍小惑星の「ベンヌ」(1999 RQ36)です。打ち上げは2016年で、小惑星到達は2018年、帰還は2023年を予定しており、その際に小惑星のサンプルをおよそ60グラムほど持ち帰る予定です。
また、小惑星に到達した時点で、その大きさや表面の様子などの綿密な観察も行う予定です。

オサイレス・レックスは、NASAの小惑星探査に関するイニシアチブの1つであり、将来的には宇宙飛行士による有人小惑星探査へとつながっていきます。