2016年に打ち上げが予定されているアメリカの小惑星探査、オサイレス・レックス(オシリス・レックス)の目的地の小惑星に、世界中の生徒たちで名前をつけてもらおうというキャンペーンが始まりました。
オサイレス・レックスは、「アメリカ版はやぶさ」とも称されるミッションで、小惑星1999RQ36からサンプルを採集し地球に持ち帰ることを目指しています。地球への帰還は2023年9月が予定されています。
1999RQ36は、小惑星の中でも原始的なものと考えられており、このサンプルを採集し、地球で分析することで、太陽系の初期の姿に迫れるのではないかと期待されています。
さらに、NASAの(というより、アメリカの)将来宇宙計画では、小惑星への有人探査を2025年頃に予定しています。人間を安全に小惑星に送り込むためには、小惑星の素性を知る必要があります。その意味でも、オサイレス・レックスが持つ意味合いは大きいといえます。
1999RQ36は、1999年に発見され、直径は500メートルほどと見積もられています。ちょうど、日本の「はやぶさ」が赴いた小惑星「イトカワ」と同じくらいの大きさです。
さて、今回のキャンペーンは、いまのところ1999RQ36という「型番」で呼ばれているこの目的地の小惑星に、ちゃんとした名前をつけよう、というのが目的です。応募できるのは世界中の18歳以下の子供たちで、1人につき1つの名前を応募できます。小惑星命名規則により、名前はアルファベットで16文字までとなっています(編集長注: 小惑星の名前についての規則については、この記事の最後の方にある月探査情報ステーションのページも参考にして下さい)。また、応募の際には、名前の説明と、その名前にした簡単な理由も一緒に書いて下さい。なお、応募の際には、大人が代表者として応募する必要があります。締め切りは今年の12月2日です。
今回のキャンペーンは、アメリカ・カリフォルニア州パサデナに本拠を置く惑星協会(The Plaentary Society)、1999RQ36を発見したマサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所、そしてオサイレス・レックスの開発で大きな役割を果たす、アリゾナ大学が協力しています。
集まった名前は専門家により検討された上で、最終的に決定されます。選ばれた名前は、小惑星をはじめとする天体やその表面の地形の名前を決定する国際天文学会(IAU)にノミネートされます。
以下、関係者の声です。
「サンプルリターン探査は、将来の世代にサンプルをもたらすものなので、このキャンペーンで小惑星に命名した子供たちが、将来そのサンプルを研究する、ということもあるだろう。」(オサイレス・レックス計画の科学者であるジェーソン・ドウォーキン氏)
「私たちはこの計画、そしてこの小惑星のためにもう10年以上も検討を重ねてきた。ぜひ皆さんには、1999RQ36(という堅苦しい名前)よりも言いやすい名前をこの小惑星につけもらいたい。」(オサイレス・レックスの主任研究者で、アリゾナ大学のダンテ・ローレッタ氏)
「私たちは、この探査で訪れることになる小惑星を見つけることができたことを本当に嬉しく思っている。また、子供たちによる小惑星命名キャンペーンに加われることも大変嬉しい。」(小惑星を発見したリンカーン研究所リニアプロジェクトの主任研究者であるグラント・ストークス氏)(編集長注: 小惑星の名前の命名権は、発見者、すなわち、リニアプロジェクトにあります。提案された名前はこのリニアプロジェクトからIAUへと提案され、承認されることになります。)
「小惑星は本当にすばらしい。だから、この1999RQ36にも、すばらしい名前をつけて欲しい。世界中の子供たちがこのコンテストに参加することで、彼らが小惑星やその科学にも興味を持ってくれることを願いたい。」(コンテストの主催者の一員である、惑星協会会長のビル・ナイ氏)
・NASAのプレスリリース (英語)
http://www.nasa.gov/home/hqnews/2012/sep/HQ_12-302_Asteroid_Naming_Contest.html
・応募ページ (惑星協会、英語)
http://planetary.org/get-involved/contests/osirisrex/
・オサイレス・レックス (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/pex_world/OSIRIS-Rex/
・小惑星の命名法 (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/hayabusa/asteroid_name.html
※1999RQという「仮符号」の名前のルールや、小惑星に名前をつける際のガイドラインなどが書かれています。応募する前にぜひ一度お読み下さい。