昨年12月に打ち上げられ、打ち上げちょうど3ヶ月目を迎えた小惑星探査機「はやぶさ2」が、いよいよ初期段階を終え、目的地の小惑星への巡航段階へと入りました。

以前の記事でもお伝えしていましたが、「はやぶさ2」は打ち上げから約3日間にわたって、最初の立ち上げを行う段階である「クリティカルフェーズ」を通過、その後、約3ヶ月をかけて、衛星本体や各種観測装置の初期的なチェックを行う「初期運用段階」に入っていました。
このたび、JAXAは「はやぶさ2」について、3月2日をもって、予定していた機能確認や、取得したデータ評価を完了し、いよいよ目的地の小惑星「1999 JU3」に向かう航行段階(巡航フェーズ)へ移行したと発表しました。

「はやぶさ2」は、今年11〜12月に予定されている地球スイングバイに向けて、合計600時間にわたるイオンエンジンの運転を予定しています。まずは3月には第1段階の運転として約400時間の運転を、その後6月上旬頃には第2段階の連続運転を実施する予定です。
イオンエンジンは、推力(推進する力)が小さいエンジンですが、連続して推力を出し続けることで加速していくという原理になっています。従ってしっかりと連続して運転できることが重要です。
「はやぶさ2」のイオンエンジンは、先号機「はやぶさ」に比べて推力の増強など多くの改良が実施されています。今回の本格的な運転は、小惑星航行、そして地球帰還に向けた最初の段階となります。
個人的には心配はしておりませんが、しっかりとした計画で進むことを期待しています。

今回の巡航段階への移行に際し、「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャーであるJAXA宇宙科学研究所の國中均教授は、「すべての皆様に感謝申し上げると共に、運用に携わるメンバー共に気を引き締めてまいります」と決意を述べています。そして、その気持ちとして次のような言葉を発表しています。

武運を信じ、いざ深宇宙動力航行に挑まん。両舷前進強速。進路、地球スイングバイ回廊。

なお、このあとの「はやぶさ2」の予定は

  • 2015年(今年)11月〜12月  地球スイングバイ
  • 2018年6月〜7月      小惑星1999 JU3到着
  • 2019年11月〜12月    小惑星出発
  • 2020年11月〜12月    地球帰還

となっています。まさに「武運長久」を私も期待し、祈りたいと思います。