NASAの小惑星探査機ドーンが、いよいよ最初の目的地であるベスタの周回軌道へと投入されます。周回軌道への投入は15日に実施されることになっています。
いわゆる「小惑星帯」(アステロイドベルト)は、火星と木星の間に位置し、数多くの小惑星が存在する場所として有名です。この小惑星帯の中にある大きな小惑星ベスタ、そして準惑星であるセレスを探査することが、このドーンの目的です。
7月9日には、ベスタまで4万1000キロまで近づいて、下のような写真を撮影しています。

4万1000キロから撮影したベスタ

技術者たちの予測によりますと、ベスタの周回軌道にドーン探査機が入るのは、アメリカ東部夏時間で15日の午後10時(日本時間では、16日の午前11時)となります。軌道に予定通り投入されたことが確認できるのは、通信が回復する、16日の午後11時30分(アメリカ東部現地時間。日本時間では17日午後0時半)となります。この時点でのベスタと探査機の距離はおよそ1万6000キロメートル。ベスタ及び探査機と地球からの距離はおおよそ1億8800万キロメートルとなります。


この日に向けて、技術者たちはドーン探査機の軌道をベスタの公転軌道に合わせるべく、慎重に軌道修正を行ってきました。ドーン探査機は電気推進を利用しており、例えば水星探査機のメッセンジャーのように、化学推進エンジンを使って一気に軌道を修正して周回軌道に入る、ということはしません。徐々に軌道を変更していくのです。
探査機はベスタに向けて速度を落とし、小惑星の重力に捕獲される形となります。しかし、この探査機がちゃんと周回軌道を周回し、軌道を精密に測定することができるまでは、このベスタの形状、及び重量はあくまで推定値にしか過ぎないのです。従って、ドーン探査機チームでは、今後数日にわたって精密な軌道測定を行う予定です。
ドーンの探査責任者であるNASAジェット推進研究所(JPL)のロバート・メーズ氏は、「何年もかけてここまでやってきた。直前のテストと状態検査によって、ドーンは予定通りの軌道を航行しており、正常に起動していることを確認している。」と、周回軌道投入に自信を示しています。
なお、ドーンは約1年間ベスタにとどまり、その後ベスタを離脱、今度は準惑星ケレスへと向かい、2015年2月に到達する予定になっています。