準惑星ケレスを探査している探査機ドーンですが、詳しい観測により、不思議なケレスの姿が次第に明らかになってきています。以前から話題になっている謎の白い点に加え、今度は新たに、標高約5000メートルにも達する山が存在することが明らかになりました。
現在ドーンは、ケレス上空約4400キロメートルを周回しながら観測を続けています。今回、これまでずっと話題になってきた謎の白い点について、新たな高解像度の写真が撮影されました。
少しゆがんでみえていますが、この白い点がクレーターの中に存在することがわかります。このクレーターは直径が約90キロほどで、これまでみえていた白点以外にも、さらに小さな白点がこのクレーターの中に存在していることがわかります。
なお、この写真が撮影されたのは6月9日(アメリカ時間)です。
この写真の中には、少なくとも最も明るい点のとなりに8つの白い点が存在するのが確かめられます。また、この最も明るい点の大きさは直径約9キロにも達すると科学者は推定しています。
現在のところ科学者の推定では、この白い点は、非常に反射率の高い鉱物…例えば(水の)氷、あるいは塩などが原因なのではないかと考えていますが、他の可能性についての検討も行っています。
ドーンは可視光及び赤外線領域のスペクトルをとることができる観測装置を搭載しています。今後、白い点やその周辺のデータが集まってくれば、スペクトルを調べることによって、この物質の正体を明らかにすることができるでしょう。
そして、さらに新しい発見がありました。ドーンが撮影した写真に、高さ5キロほどの、ピラミッドのような形をした山がみつかったのです。
上の写真は6月6日に撮影されたものですが、写真中央からやや右上の部分に、ピラミッド状の…というより、日本人であればあるいは「富士山のような」という言い方をしてもよさそうな…山がすくっとそびえ立っているのがみえます。山脈というわけでもなく、山だけがあるという光景はどこか不思議な感じがします。
科学者によると、この山の高さは約5キロ(5000メートル)ほどだとのことです。
またこれまでに撮影された数多くの写真から、ケレスは数多くのクレーターに表面が覆われていることもわかってきました。クレーターの大きさは大小さまざまで、多くのクレーターには、その中心に小高い山(中央丘)が存在しています。過去の衝突の歴史を物語るものです。
また、表面にはものが流れたような跡や地滑りのような地形、崩れた跡のような地形も存在します。どうも、ドーンが以前探査した小惑星ベスタに比べても、ケレスはより昔の状態をそのまま残しているように見受けられます。
ドーンは現在の高度での探査を6月30日まで実施する予定です。この間、写真やスペクトルデータを取得し、ケレスの表面の構成物質や地形などについて詳細な情報を得ることになります。
さらに、8月の早い時期には、より低い高度、1450キロを周回する軌道に到達する予定です。
ドーンの副プロジェクトマネージャーであるNASAのジェット推進研究所(JPL)のキャロル・レイモンド氏は、これまでのケレスの観測結果について次のように述べています。
「ケレスの表面は非常に興味深くまたユニークな特徴を持っている。例えば、氷でできた天体であれば中央丘があるクレーターができることが多いが、ケレスでは、大きなクレーターほどこの中央丘が存在するという特徴がある。こういった地形を調べることで、ケレスの内部についての情報を探ることも可能だろう。」
- JPLのページ
http://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA19574
https://moonstation.jp/ja/pex_world/Dawn/