NASAはこのほど、小惑星の資源採掘を目指す民間企業であるプラネタリーリソーシズ(PR)社と、クラウドソーシングによる小惑星発見を行うためのソフトウェア発注で協定を結びました。これは、小惑星グランドチャレンジと呼ばれる、NASAの地球近傍小惑星発見・回避プログラムの中での具体的な動きとしては、第一歩となるものです。

このほど結ばれた契約では、PR社はNASAの資金提供による観測で得られた小惑星のデータを利用した上で、そこから小惑星を検出するソフトウェアの競争的な選定に助言を行い、さらには結果についての検討も行うとのことです。
NASAはこのソフトウェアのコンテストを実施し、現在行われている小惑星の観測に活かしていきます。
最初のソフトウェアコンテストは2014年の早期に実施し、基盤としては、科学サイト「ズーミバース」(Zoomiverse)の一部 “Asteroid Zoo” を活用する予定です。

クラウドソーシングとは、最近増えてきている業務委託形態の1つで、多数の人に対して業務を委託し、その結果をまとめ上げて成果とする形態です。今回の小惑星探索プログラムについてはどのような仕様になるかちょっとわかりませんが、例えば、一般の人たちが自分のパソコンを利用し、そのソフトウェアでNASAの小惑星データ(の一部)を与えられてその中から小惑星を検出、データを(NASAに?)送る、というような形が考えられます。

今回のソフトウェア(アルゴリズム)コンテストはNASAの協働型イノベーション創出センター・オブ・エクセレンス(CoECI: Center of Excellence for Collaborative Innovation)が主催します。このCoECIはホワイトハウスの科学技術ポリシーの要請に基づいて設立され、NASAが他の連邦研究機関と連携して新しい技術などの創出を行うことを目的としています。
センター・オブ・エクセレンスとは、最近日本でもCoEという言葉でよく聞くようになりましたが、最先端技術の開発のために、研究機関の中に人材や資金を集中させた上で研究開発を行う拠点のことです。
このコンテストでは、NASAのトーナメント研究所(NTL: NASA Tournament Lab)を使用し、ハーバード・ビジネススクールとも提携するほか、ハーバード計量社会学研究所とも連携します。
NTLはトップコーダー(TopCoder)という、60万人が加入する開発プラットホームを利用し、このソフトウェア開発を促進する予定です。

今回の計画について、NASAの地球近傍小惑星観測プログラムの幹部であるリンドリー・ジョンソン氏は、「kのパートナーシップは、NASAが持つ様々な有用なデータを革新的な方法で利用し、また、一般の人たちが持つ力を利用し、小惑星の地球への接近・衝突という脅威に立ち向かうものである。今回のパートナーシップ締結は、NASAの小惑星イニシアチブにおける様々な取り組みの1つである。」と述べています。

PR社の会長で技術総責任者でもあるクリス・ルウィッキー氏は、「小惑星には持続可能、そしておそらくは無限ともいってよい資源が存在し、科学はもちろん、商業、そして人類社会の反映を続けていく上でも欠かせないものであるだろう。人々の関心を小惑星発見、そして宇宙に近づけることによって、私たちは小惑星の脅威をより早く発見し、一方では利用機会が得られるようになる。」と述べています。

小惑星グランドチャレンジのプログラム担当幹部であるジェーソン・ケスラー氏は、「小惑星グランドチャレンジはこのようなパートナーシップの上に成り立っている。今回の協定は小惑星グランドチャレンジの目的に見事に適合するものである。アイディアとデータを革新的な方法で結びつけ、小惑星衝突の危険に立ち向かうというものだ。」と、このパートナーシップ提携の意義を強調しています。

プラネタリーリソーシズ社は、小惑星からの資源採掘を目指して2012年に設立されたアメリカのベンチャー企業です。ステップを踏んで小惑星へとアプローチし、最終的には小惑星の資源を地球、あるいは地球近傍の宇宙空間へ持ち帰ることを目標としています。現在、その第1段階として、小惑星発見のための望遠鏡「アーキッド」の開発を進めています。