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スタッフ紹介

この「月探査情報ステーション」を作っている、スタッフをご紹介します。


寺薗 写真 月は、私たちにとってもっとも身近な天体です。遠いのに、近い。行ったことがあるのに、実はまだ分かっていないことだらけ。その天体に向かって、私たちは進もうとしています。
一方では、月は私たちにとって本当に身近な天体です。月をみたことがない、という人はまずいないと思います。月をみれば、いろいろなことが思い浮かぶという方も多いのではないでしょうか。私もそうです。私たち…特に日本人にとって、月は「征服するところ」「行くところ」という以上に、眺める相手としての存在が強いと思います。その気持ちは、「かぐや」が月に帰ったあとであっても、決して忘れてはいけないと思います。
月探査情報ステーションという名前から、「ムキムキしい技術ばかりのサイト」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、「今日の月」や「月探査占い」といった、皆さんの心に働きかける内容も大切にしています。そして何よりも、わかりやすく柔らかい文体で、文体も内容も「やさしく」、でも内容は正確に、私たちの月、そして惑星へのチャレンジを伝えていきたいと思います。
「月探査といえばここ」、さらには「月といえばここ」となるようなサイトを、これからも目指してまいります。皆様のご支援を、よろしくお願いいたします。
あと、私のTwitterもお忘れなく。
寺薗 淳也 (編集長)

阪本 写真 JAXA宇宙科学研究所の宇宙科学広報・普及主幹として、科学者という立場で宇宙科学研究に関わる普及・教育・渉外活動全般を行っています。宇宙科学にとどまらず科学全般をもっと身近なものにし、科学的にものを考える習慣を広めていきたいと思っています。また、比較的しがらみなく社会に対して発言できる立場を生かし、「社会派天文学者」として社会のために役立ちたいと思っています。
「酒もっと」という名字に違わず何でも好き嫌いなくよく呑みますが、最近ついに痛風倶楽部の軍門に下りました。
阪本 成一

園山 写真 満月の夜、あなたは月を見て何を思いますか。私はただただその美しさに、何も考えずにボーッとしてしまう(格好良くいうと、心を無にしてしまう)ことがほとんどです。
世の中は日々目まぐるしく変化しています。でも、月は我々が生まれた時から(というより、人類の歴史を通じて)ほとんど何も変わっていません。その月をみて、生まれたときの自分に戻れるような感覚を抱くのはきっと私だけではないと思います。そして、ハッと我に返ります。現実に返ります。今に返ります。たった何十秒でも、太古の人と変わらぬ姿の月をみて、我々が世界中の人々と同じ原点に戻れるとすれば、それはものすごく大切な時間という気がします。
私たちスタッフに共通しているのはそんな月が大好きということです。これからも、そんな原点への気持ちを大切にしながら、月をテーマにしたサイトづくりに励んでいきたいと思っています。
園山 実
(全体企画、コンテンツ全般担当)

舘野 写真 皆さんはじめまして。今日は「月探査情報ステーション」にお立ち寄りありがとうございました。
私は、日本初の大型月探査機セレーネ(SELENE)の開発を担当しています。皆さんからいただきました応援メッセージをバネに、セレーネ成功に向けて今後ともガンバッテ行きたいと思います。
ところで皆さんはどの季節がお好きでしょうか? 私は冬が好きです。冬は私の好きなウィンタースポーツの季節でもありますし、なんと言っても大気が澄んでいて月や星がとてもきれいに見えるからです。(ちなみにこの原稿を書いているのは夏真っ盛り。今日もとっても暑いです。)。
舘野 直樹
(全体調整、コンテンツ製作)

平田 写真 ようこそ.
「月探査情報ステーション」へお立ち寄り下さいましてありがとうございます.
普段は月の科学について研究しながら,このサイトの運営に少々携わっています,平田と申します.
ところで,わたしはSFが大好きでよく読むのですが,みなさんはいかがですか?

やはり「月探査情報ステーション」ということで,ちょっと月関係のSFタイトルを挙げてみましょう.

「月は地獄だ!」(ジョン・W・ キャンベル Jr.)
「月は無慈悲な夜の女王」(ロバート・A・ハインライン)
「渇きの海」(アーサー・C・クラーク)
…いきなりどうも物騒そうなのばかり出てきてしまいました(笑).どれも名作と呼ばれる作品なんですけれどね.これはやはり,「荒涼とした月」というイメージから来ているのかもしれません.

もう少し見てみましょう.
「我が月は緑」(今日泊亜蘭)
こちらは逆に,従来の月のイメージからは逆のセンスでインパクトがありますね.
でも,将来月にたくさんの人が住むようになれば,月ー緑,という感覚も自然なものになるのかもしれません.

「上弦の月を食べる獅子」(夢枕獏)
こちらは月のファンタジックな側面を感じさせるタイトルです.調べてみたら夢枕獏は結構タイトルに「月」という言葉を使っているみたいです.

「わたしと月につきあって」(野尻抱介)
ちょっとポップに.でもこの本の中身は「本当に」月に行くお話です.お勧めです.

そんなこんなで適度に空想と現実を織りまぜてわたしも「月」を楽しんでいます.
みなさんもこのサイトで楽しんでいって下さい.

平田 成
(システム管理、コンテンツ製作)

渡部 写真 自然科学研究機構 国立天文台副台長の渡部潤一です。宇宙開発は日進月歩、新しいニュースが次々飛び込んできますが、本サイトは、それらのニュースのもたらす知見と興奮とを、日本でいち早く、正確にお伝えしてきたところです。私は、このサイトを天文学的な側面から支援・応援していくスタッフとして加わっています。
渡部潤一


 

2016年3月8日(火)|Categories: 総合案内|

おすすめコースご案内

月探査情報ステーション…面白そうだけど、どこにアクセスしたらいいかわからない…というあなたのために、おすすめコースをご用意してみました。
用途別に7コース。お好きなコース(?)をお選びください。

月を眺めたい 遊びたい
月に浸る 月について調べたい
とにかく情報!! 月探査ってなに?
月探査情報ステーションについてもっと知りたい

月を眺めたい

というあなたには、なんといっても「今日の月」がおすすめ。今日の月齢の月の写真が表示されます。これをぼーっとくらい部屋で眺めているだけでも、お月見の気分になれます。でも、もし天気が良かったら、外の月も眺めてくださいね。
月そのものとは違いますが、ギャラリーにある月面基地の絵なども、眺めていると楽しくなります。
また、リンク集には、月の写真を載せているページへのリンクをご用意してあります。ここからさらにいろいろなページへジャンプして、月の絵を眺めてみるのはいかがでしょうか。


遊びたい

遊べるコンテンツで一押しなのが月探査占い。あなたの誕生日を月齢に直して、性格を占います。もちろん、相性占いもあります。
仮想月開発プロジェクトでは、学生さんの斬新な発想での「月開発」の成果がまとめられています。
月の学問を極めたいあなたには、月クイズがおすすめです。よりすぐりの問題が、あなたの挑戦を待っています。
イベント情報では、新しいイベントがあるかも知れません。時折はチェックしてみてはいかがでしょうか。


月に浸る

今夜はどっぷり月に浸りたい…
俳句コンテストのコーナーでは、これまでに寄せられた月の俳句がご覧になれます。夜、俳句を眺めながら、しばし月に思いを馳せてみてはいかがでしょう?
今日の月」もおすすめです。
ギャラリーでは、未来の月面基地の絵などもご覧になれます。月の未来を想像したい方にはおすすめです。


月について調べたい

月についての疑問とその答えを満載したQ&Aコーナーがまずおすすめです。Q&Aコーナーには検索機能もありますので、キーワードが分かっていれば答えを一発で探り出すこともできます。
月の科学や謎について知りたい、という時には、月の雑学月の科学が強力なパートナーになります。月に関する幅広い領域をカバーしています。
これまでの月探査の歴史を知りたい、というときには、月探査機がよいでしょう。1960年代のアメリカと旧ソ連の月探査から「かぐや」まで、写真を交えて解説しています。
月に関する研究発表のコーナーでは、これまで行われてきた学会発表などをご紹介しています。難しいかも知れませんが、もし専門的な内容を見つけたいという方には最適かもしれません。


とにかく情報!!

月探査「情報」ステーションには、いろいろな情報があります。まず、月に関する本については、「月の本」がおすすめです。本を買いたい場合には、このコーナーに掲載されている題名や著者、ISBN番号などがお役に立つかと思います。
この月探査情報ステーションそのものについての情報は、「総合案内」でお知らせしています。


月探査ってなに?

月?探査?なにそれ?・・・という方は、まず「日本の月探査」をご覧になってみてはいかがでしょうか。日本が月へ行こうとしているのはなぜか、どのような計画が実行されようとしているのか、わかりやすく解説してあります。
また、海外の月探査については、「世界の惑星探査」コーナーでご紹介しています。


月探査情報ステーションについてもっと知りたい

ありがとうございます。このサイトは随時新しい内容を盛り込んでいます。「最新情報」で、毎日、新しい情報をチェックしてみてください。また、「ブログ」も導入していますので、月・惑星探査に関する最新情報もチェックできます。
イベント情報のページでは、最新のイベントをご案内しています。



 

2016年3月8日(火)|Categories: 総合案内|

これまでの火星探査一覧

既に打ち上げられた、あるいは火星に到着している探査機を示しています。(2013年11月19日現在)

 

探査機名 打上日 打上国 観測軌道 主な成果
マルス1号 1962/11/1 旧ソ連 フライバイ
(195,000km)
打上4.5ヶ月後、通信途絶。
マリナー4号 1964/11/28 アメリカ フライバイ
(9,846km)
写真撮影22枚。
大気観測、磁場観測
マリナー6号 1969/2/25 アメリカ フライバイ
(3,431km)
写真撮影88枚。気圧、温度、大気組成観測
マリナー7号 1969/3/27 アメリカ フライバイ
(3,430km)
写真撮影88枚。気圧、温度、大気組成観測
マルス2号 1971/5/19 旧ソ連 周回、
着陸
写真撮影。赤外/可視/紫外領域の観測。
着陸失敗
マルス3号 1971/5/28 旧ソ連 周回、
着陸
写真撮影。赤外/可視/紫外領域の観測。
着陸成功
マリナー9号 1971/5/30 アメリカ 周回 写真撮影7,329枚。大気観測、地表観測。
観測。
マルス4号 1973/7/21 旧ソ連 フライバイ
(2,200km)
写真撮影。周回軌道投入に失敗。
マルス5号 1973.7.25 旧ソ連 周回、
着陸
写真撮影。オゾン層検出。
マルス6号 1973/8/5 旧ソ連 着陸 着地直前に通信途絶。
マルス7号 1973/8/8 旧ソ連 着陸 着陸失敗。
バイキング1号 1975/8/29 アメリカ 周回、
着陸
(クリュセ平原)
写真撮影、気象観測、土壌分析、
大気成分分析、生命探査。
バイキング2号 1975/9/9 アメリカ 周回、
着陸
(ユートピア平原)
写真撮影、気象観測、土壌分析、
大気成分分析、生命探査。
フォボス1号 1988/7/7 旧ソ連 周回、
フォボス着陸
打上2ヶ月後姿勢異常のため電力供給不能。
フォボス2号 1988/7/12 旧ソ連 周回、
フォボス着陸
火星周回軌道投入、
火星観測を実施中に通信途絶。
マーズ・オブザーバー 1992/9/25 アメリカ 周回 火星到着直前に通信途絶。
マーズ・グローバル・サーベイヤー 1996/11/7 アメリカ 周回 高精度(解像度数メートル)での火星表面撮像。2006年11月に更新途絶し探査終了。
マルス96 1996/11/16 ロシア 周回、
着陸、気球、
ペネトレーター
打ち上げ失敗。
マーズ・パスファインダー 1996/12/4 アメリカ 着陸、ローバー エアバックを使用してアレス渓谷に着陸。
写真撮影、大気観測、土壌分析。
のぞみ 1998/7/4 日本 周回 火星上層大気観測。写真撮影。電源系故障のため、2003年12月周回軌道への投入断念。フライバイ後太陽周回軌道へ
マーズ・クライメイト・オービター 1998/12/11 アメリカ 周回 火星軌道投入時に投入失敗。
マーズ・ポーラー・ランダー 1999/1/3 アメリカ 着陸 火星大気突入時に交信途絶。
ディープ・スペース2号機 1999/1/3 アメリカ ペネトレーター マーズ・ポーラー・ランダーに搭載。火星大気突入時に交信途絶。
2001マーズ・オデッセイ 2001/4/8 アメリカ 周回 火星環境の調査。熱放射イメージングシステム、ガンマ線スペクトロメーター。探査実施中
マーズ・エクスプレス 2003/6/3 ヨーロッパ 周回、着陸 火星表層環境の調査。岩石の分析。周回機は周回軌道へ入り観測中。着陸機は交信途絶。
マーズ・エクスプロレーション・ローバー
(1号機・スピリット)
2003/6/11 アメリカ ローバー 火星表層岩石・環境の分析。着陸に成功。水の痕跡の発見など。2011年5月25日に運用終了。
マーズ・エクスプロレーション・ローバー
(2号機・オポチュニティ)
2003/7/7 アメリカ ローバー 火星表層岩石・環境の分析。着陸に成功。水の痕跡の発見など。探査実施中
マーズ・リコネサンス・オービター 2005/8/12 アメリカ 周回 火星環境及び、浅い地殻の水や氷の存在を調査。探査実施中
フェニックス 2008/5/26 アメリカ 着陸 火星の表層及び地下環境の調査、気候調査。2008年11月に探査終了。
フォボス・グルント 2011/11/10 ロシア サンプルリターン フォボスからのサンプルリターン、地質調査。打ち上げ後不具合によリ地球周回軌道を脱出できず、2012年1月16日に太平洋に落下。
蛍火1号 2011/11/10 中国 周回 火星の地表、地質構造、気象などの探査。フォボス・グルントと同時に打ち上げ。同様に地球脱出に失敗し太平洋に落下。
マーズ・サイエンス・ラボラトリー (愛称・キュリオシティ) 2011/11/27 アメリカ ローバー 各種観測機器による火星の地表の詳細調査。2012年8月6日に着陸成功。探査実施中。
マンガルヤーン 2013/11/5 インド 周回 火星表層・大気の状況調査と深宇宙探査技術の習得。火星軌道へ飛行中。
メイバン 2013/11/19 アメリカ 周回 火星上層大気の観測、大気散逸メカニズムの解明。火星軌道へ飛行中。

2015年7月8日(水)|Categories: 火星・赤い星へ|

ザ・ナインプラネッツ日本語版 火星

戦いをもたらす者

   星は、太陽から4番目の惑星で、7番目に大きい惑星です。:

        太陽からの距離:    227,940,000 km (1.52 AU)
        直径:     6,794 km
        質量:     6.4219e23 kg

(ギリシャ語:アレス)は戦の神です。その赤い色からこの名がつけられたのでしょう; 火星は、ときに赤い星と呼ばれます。 (興味深い側面の覚え書き: ローマの神であるマルスは、 ギリシャの神であるアレスと関連づけて考えられるようになる以前には、 農業の神でした; 火星への植民し火星を地球のような惑星に改造することに賛成している人々には、 このような象徴性がいっそう好ましく思えるでしょう)。 3月のことを英語でマーチ(March)といいますが、 このの呼び名はマルス(Mars)からきています。

星は有史以前から知られていました。 また今もなお、 太陽系で(地球を除いて!)最も人類の居住にふさわしい場所として、 SF作家のお気に入りの場所です。 しかし、ローウェルや他の人が「見た」有名な「運河」は、 残念なことに、バルスームのプリンセスと同様に想像上のものでしかありませんでした。

   星を訪れた最初の宇宙船は、 1965年のマリナー4号です。 1976年の2つのバイキング着陸船を含むいくつかの探査機がそれに続きました(左)。 1997年7月4日にはマースパスファインダーが着陸に成功し、20年におよぶ長い空白の時代が終わりました(右)。

星の軌道はかなり楕円形です。 その結果の一つとして、 太陽直下での温度は、近日点と遠日点では約30度も変わります。 これは、 火星の気候に大きな影響を与えます。 火星の平均温度は絶対温度で約218度(摂氏マイナス55度、華氏マイナス67度)ですが、 火星の表面温度は、冬の極点での絶対温度で140度(摂氏マイナス133度、華氏マイナス207度)という低さから、 夏の昼間の絶対温度でおよそ300度(摂氏27度、華氏80度)にまで広い範囲にわたります。

星は地球よりもずっと小さいですが、その表面積は地球の陸地面積とほぼ同じです。

球を除くと、 火星は地球型惑星の中で最も変化に富み興味深い地形を持っています。 そのうちのいくつかは、とても壮観なものです:
オリンポス山: 太陽系最大の山であり、 まわりの平原から24km(78,000フィート)盛り上がっています。 その底部は直径500km以上あり、 高さ6km(20,000フィート)の崖で縁どられています(右)。
タルシス: 火星表面の巨大な台地で、さしわたし4000km、 高さが10kmあります。
マリネリス峡谷: 峡谷系であり、長さ4000km、 深さは2~7kmあります(ページ最初)。
ヘラス平原: 南半球にある、 深さ6km、直径2000kmの衝突クレーターです。
多くの地表面は非常に古く、 クレーターが多いですが、 もっとずっと若い地溝帯や山脈、丘陵や平原も存在します。

   星の南半球はクレーターの多い古い高地(左)がほとんどで、いくらかに似ています。 反対に、北半球の大部分は、非常に若くて高度の低い平原からできており、 はるかに複雑な歴史をもっています。 その境界では、高度が急に数キロメータも変わるように見えます。 このような、 全球が2つに区分され、その境界が急であるという理由はわかっていません (火星集積のすぐ後に起きた非常に大きな衝突のためだと推測する人達もいます)。 最近、何人かの科学者は、そもそも急な高度(変化)が事実かどうかを疑い始めました。 マースグローバルサーベイヤーがその問題を解決するはずです。

星内部は、 表面のデータと惑星全体の統計量データからの推論でしか知られていません。 最もありそうな筋書きは、半径約1700kmの密度の高い中心核と、 地球のマントルよりもいくらか密度が高い溶融した岩石質のマントルと、 薄い地殻です。火星の密度はほかの地球型惑星に比べると比較的小さいので、 火星の中心核には、 比較的高い割合で硫黄(いおう)と鉄(鉄と硫化鉄)が含まれているようです。

や月と同様に、 火星には活動的なプレートテクトニクスがないように見えます; 地球で非常に一般的な褶曲(しゅうきょく)山脈のような、地表面の水平移動の証拠が存在しません。 横方向のプレート運動がないので、 地殻下にあるホットスポット(熱源)は、地表面に対して固定された場所にあります。 このことと小さな表面重力から、 タルシス台地とその巨大な火山を説明できるかも知れません。 しかし、最近火山活動が起こった証拠はありません。 また、過去には火星の火山活動はもっと活発であったかもしれませんが、 プレートテクトニクスが存在したようにはみえません。

   星上の多くの場所に、 大洪水や小さな河谷系(右)を含む侵食作用の非常に明らかな証拠が存在します。 過去のある時期には、確かに水が地表面に存在していました。 大きな湖や海洋さえ存在したかも知れません。 しかし、こういったことは非常に古い時代にほんの短い間だけ起こったように思われます; 侵食された河床地形の年齢は約40億年に近いとみつもられています。 (マリネリス渓谷は流水が形成したものではありません。 タルシス台地形成にともなう地殻の伸張とひび割れが形成しました。)

期の火星は、 はるかに地球に似ていました。 地球と同様に、ほとんどすべての二酸化炭素は使い尽くされ、炭酸塩岩を形成しました。 しかし、地球のようなプレートテクトニクスが存在しないので、火星はこの二酸化炭素を大気中へ戻すことができず、 その結果、十分な温室効果を維持することができません。 したがって、地球が太陽からその距離にあった場合よりも (訳注:地球が火星軌道上にあった場合よりも)、火星表面ははるかに寒くなっています。

星は非常に薄い大気を持っています。 残された少量の二酸化炭素(95.3%)が大気の大部分であり、 加えて、窒素(2.7%)、アルゴン(1.6%)、ごく微量の酸素(0.15%)と水蒸気(0.03%)からなります。 火星地表面での平均気圧は、 わずか約7ミリバール(地球の1%以下)であり、 最も深い盆地での9ミリバールからオリンポス山の頂上での1ミリバールまで、高度によって大きく変化します。 しかし、激しい風や、時には惑星全体を何ヵ月も飲み込むダストストーム(砂嵐)を維持する程度には十分に厚い大気です。 火星の薄い大気は温室効果を生み出しますが、 それは金星地球よりはるかに小さく、地表面温度を5度上昇させるだけです。

   星には、 ほとんど固体の二酸化炭素(「ドライアイス」)からなる永久極冠が両極にあります。 極冠は、氷とさまざまな濃度の暗い色のダストが交替する層状構造を示しています。 北半球の夏には、二酸化炭素は完全に昇華し、水の氷の層が残されます。 南半球では、二酸化炭素の層は完全には消失しないので、 南極冠(左)の下に同じような水の氷の層があるかどうかは分かりません。 層状構造の原因となったメカニズムはわかっていません。 しかし、気候が、 火星の軌道面と赤道との傾き(訳注:軌道傾斜角)の変化と関係して変動することが、 その原因かもしれません。 低緯度の地表面下にも、水の氷が隠されているかも知れません。 極冠の広がりの季節変化は、 全球的な大気圧を約25%変動させます(バイキング着陸船地点での測定)。

   近のハッブル宇宙望遠鏡(右)を用いた観測は、 バイキング計画の間の環境状態が典型的なものではなかったかも知れないことを示しました。 現在の火星大気は、 バイキング着陸船の測定よりも寒くて乾燥しているようにみえます。 (STScIからより詳しい情報が得られます)

   イキング着陸船は、火星での生命の存在を調べる実験を行いました。 結果は、どちらの意味にとってもよい部分もありましたが、 現在、多くの科学者は火星での生命の証拠はないと信じています (しかし、いまだに論争があります)。 楽観主義者は、 たった2箇所のわずかな試料を調べただけであり、 最も好ましい場所の試料ではない、と指摘しています。 より多くの実験が将来の火星探査で行われることでしょう。

数の 隕石 (SNC 隕石)は、火星起源であると信じられています。

   1996年8月6日、ディヴィッド・マッケイたちは、 火星隕石中に有機化合物を初めて確認したと発表しました。 さらに著者たちは、岩石中に観察された他のいくつかの鉱物学的特徴とあわせると、 これらの化合物は火星の古い微生物の証拠かもしれないと示唆しました(左?)。
この話にはとてもどきどきします。 証拠は有力なものですが、しかし、 地球外生命が存在するという事実を決して確立したわけではない、 ということを記しておくことも重要でしょう。 マッケイの論文以来、いくつかの否定的な研究もまた出版されました。 「普通でない主張には普通でない証拠が必要である」ということばを思い出してください。 このもっとも普通でない主張が確かだと信じる前に、 やらなければならない多くの仕事が残っています。

規模ではあるが 全球的ではない、弱い磁場が、火星のさまざまな地域にあります。 この予想外の発見は、 マースグローバルサーベイヤーが火星周回軌道にはいったほんの数日後に得られました。 それらはおそらく、なくなりつつある初期の全球的な磁場の残りでしょう。 これは、火星の内部構造と、過去の大気の歴史と、 したがって昔生物が存在した可能性に関して、重要なかかわりがあるかもしれません。

星は、 夜空にでていれば簡単に肉眼で見ることができます。 見かけの明るさは、地球との相対位置によって大きく変化します。 マイク・ハーヴェイの planet finder charts から、火星(とその他の惑星)の天空上の現在位置を知ることができます。 より詳しく調整された星図は、 Starry Night のような プラネタリウムプログラムで作ることができます。

火星の衛星

火星には、地表面に非常に近い軌道をもつ2つの小さな衛星があります。

             距離     半径   質量衛星
           (000 km)    (km)       (kg)   発見者     発見年
---------  --------  ------  ---------  ----------  ------
フォボス         9      11    1.08e16    ホール      1877
デイモス        23       6    1.80e15    ホール      1877

火星、デイモス、フォボスに関する更なる情報

未解決の問題

  • なぜ火星の北半球と南半球は非常に異なるのでしょうか。 なぜ北極冠と南極冠は異なるのでしょうか。
  • 火星には現在でも活動的な火山活動が存在するのでしょうか。
  • 地球にある流水による水底と非常によく似た侵食パターンは実際何が原因なのでしょうか。
  • 地下(火星下?)にはどれくらい水が存在するのでしょうか。
  • 火星は、生命を維持可能な惑星のリストの最上位にあります。 バイキング探査機は火星で生命の証拠を発見しませんでした。 しかし、わずか2箇所の離れた場所で試料を採集しただけでした。 どこか他の場所に生命は存在するのでしょうか、 あるいは、過去の火星のある時期に生命は存在したのでしょうか。 最近の隕石からの証拠は、確認が必要です。 結局のところ、試料採取ミッションが1回必要なのでしょう。
  • 将来の火星探査は、他の惑星よりは希望がもてます。 NASAのマースグローバルサーベイヤー の軌道船は、不運なマースオブザーバーの科学機材をほとんど含んでおり、現在火星周回軌道にいます。 マースパスファインダーは、 着陸船とミニローバーを持っており、1997年7月4日に火星着陸に成功しました (3番目のミッションであるロシアのマルス96は、打ち上げに失敗しました)。 他のいくつかのミッションが1998年に向けて準備されていますが、 ロシアとアメリカでさえも、財源はいまだに全くあいまいです。 マースサーベイヤーは、 1995年に議会をかろうじて通過しました; 将来のミッションは、誰にも予測できない政治的要素に依存しています。 ロシアの元々のマルス96(しばらくの間はマルス98として知られていた)は現在では中止されました。 日本の最初の火星ミッションである「のぞみ」 (以前にはプラネットBとして知られていました)は、現在は飛行中です; もしアメリカがつまずくのであれば、恐らく彼らが希望の光をかかげることでしょう。

高速旅行木星

Contents太陽地球 … 火星 … フォボス木星Data Host


ビル・アーネット著; :1998年 8月21日更新
青木雄一郎訳; :1998年12月13日更新

2015年7月8日(水)|Categories: 火星・赤い星へ|

これからの火星探査

この先予定されている、世界の火星探査についての記事です。
将来火星探査の最新のトピックスにつきましては、将来火星探査トピックスまたは月探査情報ステーションブログをご覧ください。

将来火星探査についての年表

現時点(2015年5月)で判明している火星探査についての打ち上げ時期の年表です。
探査計画名にリンクがあるものは、そのページヘのリンクを示します。
探査計画名にリンクがない場合は本ページに計画の簡単な解説があります。
なお、打ち上げ時期についてはあくまでも現時点での計画に基づくものです。今後、延期、さらには中止される場合もあります。最新の計画進行状況については、月探査情報ステーションブログなどの各種情報をご参照ください。

計画名 打ち上げ時期 打ち上げ計画国
エクソマーズ 2016年1月
2018年5月
ヨーロッパ、ロシア
インサイト 2016年 アメリカ
2020年火星ローバー計画 2020年 アメリカ
アル・アマル 2020年7月 アラブ首長国連邦(UAE)
ミーロス計画 2020年代 日本
有人火星探査 2030年代半ば アメリカ

エクソマーズ計画

エクソマーズ探査機
エクソマーズ探査機 (Photo by ESA)

エクソマーズ(ExoMars)計画は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が計画している将来探査計画である、オーロラ計画の一環として実施されます。火星が生命に適した環境かどうかや、人類の将来の火星進出のための基礎データの収集を行います。火星周回機とローバーからなり、主にローバーが火星表面の探査を実施します。
打ち上げは2016年(1月の予定)と2018年に行われます。2016年には、微量ガス探査周回機(TGO: Trace Gas Orbiter)と着陸実証モジュール(EDM: Entry, Descent and Landing Demonstrator)が打ち上げれます。2018年にはローバーが打ち上げられる予定です。
TGOは、火星大気中に存在するメタンなどの微量ガスの分布や存在量を調査することで、現在でも火星に生命が存在しているかどうか、さらには火星の地質学的な活動状況がどのようになっているかを調査します。EDMは、2018年のローバーの着陸に向けて、技術実証を行うことを目的とします。
TGOには、NOMADと呼ばれる赤外線・紫外線スペクトロメーターや(ベルギーが開発主導)、CaSSISと呼ばれる、高解像度ステレオカメラ(開発主導はスイス)が搭載されます。EDMにはDREAMSと名付けられた環境観測ステーション(イタリアが開発主導)が搭載されます。
2018年打ち上げのローバーには、広角・高解像度カメラ(PanCam。イギリスが開発主導)、近接イメージャー(CLUPI。スイスが開発主導)、地下レーダー(WISDOM。フランスが開発主導)、小型赤外線スペクトロメーター(Ma_MISS。地下ドリルに内蔵。フランスが開発主導)、ラマンスペクトロメーター(RLS。スペインが開発主導)、可視光・赤外スペクトロメーター(MicrOmega。フランスが開発主導)、新規有機物検出器(MOMA。ドイツが開発を主導し、アメリカが協力)が搭載される予定です。

打ち上げは当初2011年の予定で、2013年の火星到着が計画されていました。しかし計画の遅れに加え、予算不足などから計画は遅れました。とりわけ、2012年はじめにアメリカ(NASA)が予算不足を理由に計画から脱退したことから、計画自体も一時実現が遠のくのではないかと心配されました。
その後、アメリカの代わりにロシアとの共同探査とする方向で検討が進められており、2013年3月に正式合意しました。ロシアは打ち上げロケット(ソユーズ)と、2018年のローバー着陸用の降下モジュール、地表モジュールを提供します。
エクソマーズは、ESA参加国のうち14カ国(オーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス)およびカナダが共同出資します。イタリアの資金供給が最多で、次がイギリスです。


インサイト

インサイトの想像図
インサイトの想像図 (NASA/JPL)

インサイト(InSight: Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport)は、火星内部を探査する、NASAの新しい計画です。火星内部構造を探査するための専用の探査機というのは、火星探査史上はじめてとなります。
火星の内部構造、とりわけ、コアの様子(大きさや、液体で構成されているかどうか)やプレート運動の有無、あるいは存在した場合の運動の様子や、過去に存在していた場合にはその歴史などを調べることにより、火星が現在の様子になるに至った理由を、火星の内部構造の面から探ろうとするミッションです。
インサイトは、かつて打ち上げられた火星着陸機「フェニックス」の設計を大幅に流用し、探査コストを低減します。また、4つの探査機器を搭載し、そのうち1つ(地震計)はフランス宇宙機関から提供されます。
インサイトは、NASAの低コスト月・惑星探査計画の一環である「ディスカバリー計画」の1つとして2012年8月に選定され、2016年3月の打ち上げが予定されています。

アル・アマル計画

アル・アマル (Al Amal) 計画は、2015年5月に正式に発表された、アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査計画です。
この計画では、2020年7月に探査機を打ち上げ、9ヶ月の飛行の後、2021年3月に火星に到達する予定です。2020年はUAEの建国50周年にもあたり、それを記念するという意味もあります。
探査機は3方向に突き出た太陽電池パネルが特徴的な形状をしており、重さは打ち上げ時重量で1500キログラムとなっています。観測機器は3種類を搭載します。
打ち上げの目的は、火星大気の科学的な探査となっています。
「アル・アマル」は、アラビア語で「希望」を意味します。


将来火星探査計画

2020年ころに、NASAが火星探査を計画しています。ただし、現時点では詳細は不明です。
日本では、2020年代の実現を目指して、ミーロス(MELOS)計画が検討されています。本計画では、火星の総合的な探査を目指しており、現在、どのような機器を搭載するのかについての検討が行われています。ローバーや着陸機、飛行機など、様々な機器の搭載が検討されています。

有人火星探査

火星探査基地とローバ
火星探査用の基地と、そこから発進する火星面車(ローバー) (NASA)

火星探査は、やはり最後は人間が直接訪れるのが、究極の目標ともいえるでしょう。実際、1989年にはアメリカのブッシュ大統領(当時)が、有人火星探査の検討を開始することを宣言しています。しかし、全体に検討は遅れ気味といえるでしょう。
それでも、NASAなどでは有人火星探査についての検討が進められています。今のところ、火星への往復に要する期間などで、3種類のミッションが検討されています。短期間型のミッションでも400〜650日、エネルギー節約型の長期間ミッションでは900〜1000日に及ぶという、これまでにない長期の有人宇宙探査計画になりそうです。
問題は、この有人火星探査がいつ実現されるかです。今のところ、NASAの火星探査計画の中にも、明確に有人探査計画があるわけではありません。しかし、全ての状況が整えば、早い時期に実現される可能性はあります。多くの技術者や科学者は、早ければ2020年代には、有人火星探査計画が実現するのではないかと考えています。しかし、そのためには、資金ねん出や長期滞在技術など、克服すべき課題がまだまだ山積みになっています。
有人火星探査に最も熱心な国はアメリカです。2004年、当時のブッシュ大統領は、アメリカの新宇宙政策を提示、この中で、目標を明示しないものの、有人火星探査をアメリカの究極の宇宙開発のゴールと設定しました。
この目標に向けて、2006年からは「コンステレーション計画」が始動、まずは月に着陸し、その後火星に向けて探査機を月から打ち上げるというシナリオに基づき、ロケット、宇宙船の開発がスタートしました。
しかし、予算超過やスケジュールの遅れなどが目立ち、開発が順調でなかったことから、次のオバマ大統領の時代(2010年)になって本計画はキャンセルされました。
ただそれでも、アメリカの目標が有人火星探査であることには変わりありません。オバマ大統領のもとで策定された新しいアメリカの宇宙探査計画では、2030年代なかばに有人火星飛行を実現するというビジョンが示されています。また、このために宇宙船やロケットの開発を行うことが示されています。コンステレーション計画のもとで開発されてきた宇宙船「オライオン」の開発は継続され、よリ強力なロケットであるSLS(宇宙輸送システム: Space Launch System)の開発が始まっています。
アメリカの新宇宙政策


2015年7月8日(水)|Categories: 火星・赤い星へ|