今年(2018年)打ち上げ予定の中国の月探査機「嫦娥4号」に搭載される予定の小型通信衛星が、「鵲橋」(じゃっきょう…記事最後の編集長注参照)と命名されました。人民網日本語版が伝えています。

嫦娥4号は、中国としては2つ目となる月着陸探査機です。
中国の月探査は、「周回」「着陸」「サンプルリターン」という3段階で進める戦略となっていて、それぞれの段階に2機の探査機が用意されます。1機目は確実な成功を、2機目は1機目のバックアップの役割はもちろん、1機目が成功していればより挑戦的なミッションを行うことを狙います。
嫦娥4号は、3号が成功していることもあり、まさにこの「挑戦的なミッション」を実施します。史上初の「月の裏側への着陸」を目指すことになっているのです。

ただ、ご存知の通り、月の裏側は私たち地球からは見えません。見えないということは、電波もそのままでは通信できないということになります。このためには、上空を周回して通信を中継する衛星が必要になります。
日本の月探査衛星「かぐや」でも、同じような目的で、「リレー衛星」が搭載されました。

今回は、中国の宇宙の日である4月24日に、この小型通信衛星を開発した黒竜江省のハルビン中央大学で名前が発表されました。
名前の「鵲橋」ですが、これは実は、日本人にもなじみが深い七夕の伝説から来ています。
これまた皆様ご存知の通り、七夕の日には、織姫と彦星が出会います。この2人(2つの星)、ふだんは天の川で隔てられていますが、七夕の日だけはここに橋がかかり、2人が出会えるようになっています。この橋はカササギという鳥が翼を広げて作られるという伝説があります。難しい漢字の「鵲」はカササギの意味です。
このカササギの橋を彦星が渡って、2人が出会うことになっています。
なお、男女が出会うということから、「鵲橋」は男女が良縁で結ばれることも意味するそうです。
今回の嫦娥4号の通信衛星は、地球と月とを結ぶ役割を果たすということで、まさに2人(2つの天体)を結びつける目的があります。名前としてはぴったりでしょう(やや大きさが小さいというのは別として)。

なお、この通信衛星は嫦娥4号に先立って今年上半期に打ち上げられると、人民網日本語版では伝えています。嫦娥4号本体は下半期打ち上げの予定です。
通信衛星は、地球と月との重力が均衡する「ラグランジュ点」(L2)にとどまり、地球と月との「橋渡し」をする予定となっています。

(編集長注)「鵲橋」の読み方についてですが、今回の記事では「じゃっきょう」と表記しています。ただ、読み方にはいくつかあり、そのまま和名で「かささぎばし」と読んだり、「しゃくはし」「じゃっきょう」と読む場合もあります。今回の「じゃっきょう」はデジタル大辞林の読み方を踏襲しています。

【2018年5月3日午後7時30分修正】当初、記事中で

なお、この通信衛星は2機あるとのことです。公式の名前はそれぞれ、DSLWP-A1とDSLWP-A2というかなり味気ないものですが、「鵲橋」と名付けられるとぐっと親しみが湧いてきます。

と書いておりましたが、これは誤りでした。通信衛星自体は1機で、記事中のDSLWP-A1とDSLWP-A2は、ハルビン工業大学が開発した小型衛星(嫦娥4号と共に月へ向かい、月周回軌道に投入されます)です。こちらは電波天文学や宇宙VLBI(超長基線電波干渉法。非常に離れた2つの地点からの電波の到着時間差を利用して、その場所の位置や動きを精密に測定する技術)の実証に用いられるとのことです。こちら2つの小型衛星にも別途名前がつくようですが、まだ情報が入っておりません。
以上、お詫びして訂正いたします。