アポロが測定した月の地震(月震)のデータのうち、隕石の衝突はかなり明確に区別できました。他の月震と比べてかなり大きかったからです。
月震全体のうち、隕石の衝突によると思われるものは、全体の15パーセント程度です。数でいいますと、7年間に隕石の衝突と判明したものは、1743個になります。
実際には、アポロの月震計は月の表側の一部に集中して設置されていますので、月面全体に落下する隕石の数は、これよりはるかに多いことは間違いありません。また、アポロの月震記録の中にも、隕石の衝突かどうかわからない(そもそも、どういう種類の月震かわからない)ものが6割以上を占めていますので、この中にも隕石の衝突による月震が混じっている可能性が高いと思われます。

落下してきた隕石の大きさは500グラムから50キログラム程度と考えられています。
これは、確かに人工衛星などに当たるとかなり危険ですが、実際にはその確率はかなり小さいと考えられていますので、まず心配はいらないと思います。
月は地球の回りのように、人工衛星のゴミ(スペースデブリ)でいっぱいというわけではありませんので、その意味でもまだ安全と考えてよいでしょう。

ただ1つ問題が起きるとすれば、流星群のように一時的に隕石の量が増えるときです。
実際、月震の観測でも、流星群が地球に近づいたとき、隕石の落下が増えたという報告があります。地球も月も流星群からみれば同じような位置にありますから、地球が流星群の真っ只中にいるときには、月にも流星群(つまり、ごく小さな隕石)が降り注いでいることになります。

さらに、月には大気がありませんから、小さな隕石でも高速でぶつかってきます。これは衛星にとって脅威になる可能性があります。将来、月の上空に人工衛星を打ち上げるときには、こういった流星群への対策が必要になるのではないでしょうか。


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